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鍵のない夢を見る
Audible21冊目読了(聴了)
辻村深月の第147回直木賞作品。
5つの短編で構成されている。
「仁志野町の泥棒」 小学校の時の友達のお母さんが自分の家に空き巣に入っている所に鉢合わせというショッキングな題材。
「石蕗南地区の放火」結婚できないOLと見栄えの良くない消防団員とのしょーもないやりとりから放火事件へと話が絡んでくる。
「美弥谷団地の逃亡者」 出会い系サイトで知り合った男女の謎の逃避行
「芹葉大学の夢と殺人」この作品が秀逸だった。
大学で出会った男女。男は子供のように夢ばかりを語り、現実味がないが、その男と付き合う女の方も別れられないんだけど最後にとんでもない結末が待っていた・・・
「君本家の誘拐」 念願の初産で喜ぶ女。ところが現実的な育児の大変さに徐々に気づいていき、心も体も壊れかけていく。
途中から女の妄想なんだか??現実なんだか???読んでいるこちらの方もおかしくなりそうな作品。
割とどの短編も救いようのない苦悩や承認欲求を文章で心理的につついてくる。
というより、どの主人公も皆、少しおかしな人たちなんだけど、現実世界では普通の人という立ち位置で生活している。
普通の人がひょんな事から泥棒したり放火したり殺人をおかしてしまうという事。
「君本家の誘拐」は子供がいるお父さんには耳の痛い話である。
どの作品もどんよりと雲がかかっているので、ネガティブな時は読まない方が良いかもしれない。
さ、22冊目は何を読もうか???