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ギフト 僕の場合~Audible54冊目

ギフト 僕の場合 今井恭子 ☆☆☆☆

2025年の一冊目となった。
と言うより、去年の暮れから読み始めたので、年またぎでの聴了。

児童小説なのだが、大人もハッとさせられる内容だ。


父親から教わったギター、主人公の優太は幼い頃に父親からギターを教わり、ギターの魅力に取り付かれるのだが、その父親が不倫の末に母親と離婚、貧困な生活の末に妹まで事故で亡くすという内容で、どこにこの物語をを救いの方向に向かわせるのか??と親目線(爺目線)で心配になる。

ところが小学六年生になった頃、子供たちのバンドでギターを弾く少年が怪我で手が不自由になり、優太に白羽の矢が立つ。

良くも悪くも、この少年はギターを持つことによって、成長していく様を描いている。

大好きだったギターを父親の不倫、離婚、貧困で嫌いになりそうだった少年をそのギターが救うのだ。

読んで(聴いて)いて辛かったのは、貧困の末に優太は修学旅行も諦める場面があるのだが、これってどうにかならんのかね??と、読むのをやめたくなった。

が、親友の三田口君も貧困の為に修学旅行に行けず、二人で学校で留守番しているときの会話にリアリティがあった。

日本は自分が小さな頃の日本とは明らかに違う。

僕らの小学校時代も貧困にあえいでいる友達がたくさんいた。
うちだって、決して金持ちでは無かったし、どちらかというと底辺に近い部類だと思っていた。

ただ、周りはそんな子が大半で、あまり気にもしていなかったし、塾へ行っているような子が少数派の時代であったので、貧乏だとは思っていたが、卑屈になるような思いはなかった。

明らかに日本が全体が世界から取り残されているんだという認識を、この児童文学で思い知らされた気がした。

決して希望がない小説ではないけど、子供が読むとどんな気持ちになるのだろうか???

ちなみに私も中学二年生から高校の三年間がギターに救われた過去があったことを思いだした。

夢中になれる物があれば人は救われる。


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