サンショウウオの四十九日~Audible50冊目
サンショウウオの四十九日 朝比奈秋 ☆☆☆☆
第171回の芥川賞作品だ
一つの同じ身体で生きる姉妹、瞬と杏。
結合双生児のようだが、知識の無かった私の中では、結合双生児とはベトちゃんとドクちゃんのような二つの身体がどこかで一つに繋がってしまった、身体だと思っていたが、この作品の主人公の瞬と杏は本当に一つの身体に二人の意識があるという難解な設定だ。
とても難解なのだが、作品の中でこんな風な例えがある。
例えば私(杏)が好きな誰かと結ばれたとすると、瞬にとってはレイプなのだと。
戸籍上は一人一人の私なのだが、働いても身体は一つなので、一人分の給料しかもらえない。
当然と言えば当然なのだが、見た目は一人で、身体も一つなので会社側としては「一人」なので給料は一人分。
そしてその「二人」は面倒なので、どちらか一人の名前で会社に入り働き、もう一人の私は正体をなるべく隠して生きている。
そしてもっと難解にさせるのが、二人の父も胎児内胎児で叔父の身体の中で生まれたという設定であって、普段全くなじみのない世界だったので、聴きながら頭でイメージができなくて、正直、戸惑いまくった。
やがて、その叔父が亡くなり、二人の世界観は宗教や哲学的な方向へ語りかける展開となっていく。
正直楽しい小説かと問われるとしたら、自分の答えはNOだ。
但し、今のところ。
ただ、自分が死を直面にするときは、こういう小説は響くのかもしれない。
とても難解でわかりづらい小説だけど、力感というか、作者が切に訴えたい言葉は伝わってきて、文章に情熱は感じる。
ちなみに作者は現役の医師でもあるらしい。
難解さ故に、機会があれば、次はAudibleではなく「本」で読みたい本だなと思った。
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思ったよりも早くAudible50冊目を聴き終えた。
年内にあと何冊聴けるかわからないけど、生活の充実度は日に日に増しているような気がする。
仕事しながら、走りながら、電車や車に乗りながら、運動しながら、料理しながら聴ける生活は確実に根についた感じだ。