女性の集合的エゴのせいだから
私は、月経前症候群(PMS)がとてもひどい時期があった。
鬱の症状まで出て、夕食を作っている最中に、突然ベッドに行って布団にもぐりこんで、泣き続けたり、イライラや怒りが自分の内に渦巻くのにまかせて、どうしようもなくなったりした。
これは、本人もつらいものだけど、周りにいる家族、特に夫や、パートナーもかなり大変な思いをさせられる。
腫れ物に触る、というのは、まさしくこのことで、私の夫を含め、まわりの、嵐が過ぎ去るのをまつ彼らの優しさ、忍耐強さには、見ていて本当に頭が下がった。男に生まれて、こんな女たちを相手にすることなくて良かった、なんて真剣に思った。
けれど、女たちだって、それをどう扱えばわからないのだ。
突然の野生が戻ってきたみたいに、牙をむいたり、ふいに泣き出したりする自分に。もちろん、「ホルモンの関係」と括ってしまえばそれまでだけど。
エックハルト・トールは それは、私たちの内側に潜んでいる、「ペイン・ボディ」のせいなのだと、書いている。
ペイン・ボディは、要するに、「エゴが映し出した暗い影」とも彼は言っていて、そして ペイン・ボディには、集合的なものと個人的なもののふたつがあると。
なんと、このPMSは、個人的なものではないと!
思い返せば、私はすっかり支配されていた。嵐に巻き込まれ、為されるままになっていたと思う。
この集合的ペインボディのことを知ってから、私はずいぶんと楽になった。
「これは自分のものではない」と分かったら、何かが外れてしまったのだ。
それからは、PMSが現れたときには、それを眺めてみるようにした。「嵐」がそこにあることを知り、否定するのではなく、受け入れた。
「嵐」が、新しい朝を連れてくるための、癒しの過程なのだと、大きな視点で観て、
この痛みが、過去、生きてきたすべての女性の痛みだと理解し、共有したとき、何が起こっただろう?
「安らぎ」だ。
こうして、すべては円を閉じていくのだと。
何が起こったとしても、全体のハーモニーが、どんな形であれ、私たち、ぜんたいを癒していくのだと、私はその中に安らいだ。
新しい理解だった。
女性だけでなく、エックハルト・トールは、パートナーである、男性に向けてもこんな助言を与えてくれている。
「十分に意識の覚醒した」、と書かれると、敷居が高いように思えるけど、そんなことはない。
ただ、相手をペイン・ボディと混合してしまわずに、自分が錨(イカリ)となって、グラウンディングし、エネルギーの場をしっかりと保つ。
これは月経時の時だけでなく、どんな場合にも、役に立つ。女性も、男性も、こうしてお互いをサポートしあい、思考から離れ、「いま、ここ」に意識的であることで、純度の高いパートナーシップが現れてくる。
私のPMSがどんどんその症状を軽くしていったのは、これらの理解があったこと、そして、やはり自分の心の傷や、インナーチャイルドを癒していった度合と、繋がっているように思えた。
今、私は更年期に入り、月経はないけれど、後年、PMSに悩まされることはまったく、と言っていいほどなくなった。
私が私自身をしっかり癒し、幸せになることは、繋がるすべての女性たちの幸せでもある。
どんな痛みも、私たちにはふさわしくない。(かと言って、痛みを排除したり、抗ったりするのではない)。
どうか、カラダに、心に、聞いてあげて欲しい。
この痛みは自分に何を訴えているのかを。
あなたを含めた、私たち、ぜんたいの幸せのために。