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37:先進国に生まれた私の使命

 Bonjour!

 ご無沙汰しております。

 いろんなトラブルが重なり、落ち着いたと思った矢先、「身の安全のため経済首都に退避するように」というJICA命令が下りました。

 無事今週に自宅に帰ることができ、本格的に活動=授業を開始したところです。

 いろいろありますが、体も心も元気です!

 更新したいことが沢山あるで、毎日の日記を読み返しながら、少しずつ更新していきます。

地方都市Ouidahの伝統的なお祭り


 最近、学生時代にカンボジアに連れて行ってくれた方から「人権作文を書かないか?」と勧められました。

 私の人生を変えてくれた方からのお誘いですし、ありがたい機会だなと思い書かせていただきました。

 「岐阜の人権」という本に文章を載せていただけるかもしれないので、私の名前を見かけた方はぜひ教えてください🙏🏻

 以下は提出した文章をそのまま掲載します。

火を持って踊る男性

最後は街の人がこの火を手で触り
若い女性が火を食べていた


 「先進国に生まれた私の使命」 

 私は西アフリカに位置するベナン共和国にJICA海外協力隊の小学校教育隊員として派遣されている。地方都市で主に算数教育に力を入れて活動している。

 中学3年生の時、隣のクラスの先生が過去にベナンでJICA隊員として活動されていた。幼い頃から漠然と途上国に憧れていた私は、学年集会でベナンの話を聞くにつれ、「自分も将来途上国で働きたい」という夢ができた。大学時代にはスタディーツアーや旅行で東南アジアやインドを訪れ、「教育の必要性」を身に染みて感じた。そこで、日本で5年間小学校教諭としての経験を積み、現在に至る。ずっと憧れていたベナン隊員として合格することができ、この「ベナン共和国」という国とは運命を感じている。

 先日、ベナンの伝統的な民族のお祭りを観に行くことができた。幼い頃から憧れだった彼らの「原始的なカッコイイ姿」を自分の目で見ることができ、興奮が止まらなかった。日本にはない動きのダンス、衣装、演出…。何もかもに惹かれて目が釘付けになった。

 一方で、彼らの原始的な姿を見て、「この国が文明に触れなければ、西洋的な教育は取り入れられていなかっただろうし、私もここに派遣されることはなかった。」と強く感じた。「発展途上国」だから当たり前かもしれないが、スマートフォンの普及や道路や都市の整備など急速に発展している側面もあれば、なかなか基盤が整わない側面もあるように感じている。

 私の住む地方都市は、経済首都コトヌーから車で3時間程の内陸に位置する。小学校は約160校が設置され、私は現地の小学校を訪問し、状況を把握するところから活動を始めている。6年生の優秀な児童でさえ、1桁+1桁レベルの足し算でも棒を書いて数えながら計算している。実際、買い物に行くと大人でも単純な計算をすることができず、お釣りを間違えられることが多々ある。

 また、1クラスの児童数は50〜135人程度と日本と比べてとてつもなく多い。よって集団の秩序を保つため、教師が体罰を与える場面が見られる。ノートの書き方や計算を間違えるだけで罰が与えることもよくある。そういった場面に遭遇すると心が痛み、何も出来ない自分に悲しくなる。さらに、「痛み」や「怖さ」を通して指導された子どもたちは「なぜ注意されたのか?」の真意が理解できておらず、「怒られなければいいや」と羽目を外すという問題も生じている。

 活動場所以外では、ゴミ問題に心を痛めている。私の住む街はゴミ処理場やゴミ箱がないため、皆プラスチックのゴミを道端に捨てる。しかし、ゴミ処理のシステムが整っていないだけで、ポイ捨てをしているベナン人が悪いわけではない。土に還るものしかなかった時代から、生活の中に急にプラスチックが入ってきてしまっただけだからだ。

 さらには、「肌が白い」というだけで子どもからも大人からも「金をくれ」と毎日言われる。「知らぬが仏」という言葉があるように、彼らがより便利な暮らしや魅力的なものに触れずにいたら、外国人と比べ貧しいと感じることもなく、質素ながらも家族や地域で助け合うシンプルな暮らしを重ね、幸せだったのかも知れない。しかし、過去には戻ることはできない。文明に触れてしまったからには、発展してよりよい暮らしを築いていくしかないと思う。

 一方で、「現状より少しでもより良い暮らしにつながるアイデアや活動を」と考え働きかけても「なぜ外国人の価値観(暗算の普及や体罰の禁止など)を広めようとするのか?」と考える現場の人達と出会うこともある。外から入ってきた外国人の私が現場の方達と率直に意見交換し、受け入れてもらうためには、まずは彼らの文化にどっぷり浸かり、彼らが暮らしてきた背景それにより生まれた価値観などを知りたいと思う。

 たったの2年間で自分にできることは微々たるものかもしれない。しかし、国際協力というのは、文明を彼らに触れさせてしまった「先進国の使命」だと思う。だからこそ、彼らの価値観を尊重しつつ、同じ目線に立って、私にしかできない活動をこれからも展開していきたい。

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