「知らないことを知ることは大切なこと」
LGBTって?
皆さんは「LGBT」についてご存知でしょうか。
近年、「LGBTQ」や「LGBTQIA+」といった言葉をインターネットやSNSで見かけることが多いのではないでしょうか。
私自身「LGBT」と「LGBTQIA+」など何が違うのか正直わかりませんでした。
Twitterが性的マイノリティと日本語教育について考えるきっかけになった
私自身、最近Twitterである日本語教師の発言で炎上していたことをきっかけに性的マイノリティと日本語教育についても考えなければならないと考えていました。(ツイッターの元記事は既に削除されていました)
色々勉強会など探していたところ、つながろうねっト「性の多様性を踏まえた日本語教育」の勉強会を知り、参加しました。
つながろうねっト「性の多様性を踏まえた日本語教育」の勉強会
講師はトロント大学東アジア学科 有森丈太郎先生。
午前と午後の2部制で、前半では「性の多様性と日本語教育について」 後半では「ケースメソッド」で教師の役割について考える勉強会でした。
性の多様性について考える
皆さんは「性の多様性」について考えたことがありますか。
セクシュアリティは81通りあるそうです。実に多様なセクシュアリティが存在しています。
参加者には性的マイノリティ当事者の方も参加されていました。
自分をオープンにすることで受け入れてくれる人がいる
という、当事者の方の体験談は非常に興味深かく共感しました。 と言うのも、私自身、今から約10年前、某日本語学校で担任クラスの時に初めて性的マイノリティの学習者がいたクラスで同様の経験をしたからなんです。それをきっかけに「性の多様性」について考えるようになりました。
「差別」と「偏見」
今から約10年前、日本語学校で日本語を教えていた時の話です。 私の担任クラスにトランスジェンダーの学習者がいました。
当事者の学習者がいつも休憩中などいつも女子学生と一緒にファッション雑誌や化粧品など見たりしていたので「可愛い服が好き」外見も話し方も女の子と言う男子学生がいました。自分でも「可愛い女の子が好きで可愛い服装がしたい」と話し、カミングアウトしていました。
幸いに、その学習者をいじめたり差別したりと言うことがなく、クラスに受け入れられていました。
一方で、講師室ではその学習者の話をする教師がいました。
「Aさん、ピンク好きだよね?」
「女の子好きだよね?」
とかその学習者のことを変わり者という目で話していたんです。 今に比べ性の多様性について偏見や差別も多く、よく知らないという教師が多かったのではないでしょうか。
その話を講師室で聞いた時、とても悲しくなると同時に怒りがこみ上げていたのを今でも覚えています。
「何も悪いことしていないのに、なぜ批判されないといけないのか」と。
「ピンクが好きでなぜいけないのか」と。
学習者同士も差別や偏見はしてはいけないことですが、ましてや教師が大勢の教職員がいる場では言語道断だと思います。
日本語教育の市販教材から日本語の性差・アイデンティティを考える
日本語の教材には「男女」前提で書かれている
これは、以前有森先生が発表で取り上げていらっしゃった例をご紹介してくださったものです。
「友達や恋人や家族と話す時、男性は自分のことを「僕」とか「俺」と言い、女性はたいてい「私」を使います」(上級へのとびら第2課)
上記は有森先生が発表時にご紹介してくださったものです。
性的マイノリティの学習者がいるかもしれない、もしいた場合に、どのように教えるのか、日本語教師、また教師の皆さんは考えたことがありますか。
有森先生のお話は大事な視点を気づかせてくれました。 教材分析をする際、そういう視点で見ることも必要だということを。
そして、普段何気ない教師の発言などでも、当事者の学習者は傷ついているのかもしれないということ、また、教師がどういう教室活動をしていくのか、教材と教師をつなぐ役割も考えさせられました。
教室での教師の役割
教室での教師の役割とは何でしょうか。
後半は「ケースメソッド」で教師の役割を考えました。 同じケースについて原因や問題点などを考えて話し合うことで新たな気づきがありました。 全体で上がった発表をシェアしたいと思います。
教師自身が多様性を受け入れる
教師も冷静になる必要性がある
「出羽守」にならないようにする
多様な価値観が尊重される教室づくりを普段から作っておく
組織的な対応も考える必要がある
教師が過剰に反応してしまわないことが必要
当事者の気持ちを尊重する
これらを踏まえ、今後、教師の対応力が求められていくのではないかと思います。
存在を理解すること
「存在は理解してほしい」
「価値観の共有はできないけど、受け入れられない気持ちはわかる、でも存在は理解してほしい」
当事者じゃなくても、性的マイノリティがいるということを理解してほしい、知っていてほしいという当事者の方からのお話は印象的でした。
まとめ
「あることは否定しない」
勉強会に参加して、教師は性の多様性を知り、教科書を扱う際にも性的マイノリティの学習者に配慮した教室活動が必要だということに気づきました。
教師はどんな学習者でも学べる環境作りのために、
性的マイノリティに配慮するために、日本語学校や小中学校、専門学校、大学など様々な教育機関でこのような勉強会やワークショップなどを開き、周知を図ることが必要なのではないでしょうか。 「知らないことを知ること」は大事なことだと思います。
教師の皆さん、先ずは、知ることから始めてみませんか。
*ReBit:小中高大学など学校向けにLGBTの出張授業を実施している団体です。
https://rebitlgbt.org/project/education
*有森先生の論文はこちら→ 「ジェンダー・アイデンティティの多様性から考える日本語教育」
http://www.cajle.info/wp-content/uploads/2017/09/04CAJLE2017Proceedings_ArimoriJotaro.pdf
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