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黄色い声は無意識に ⇑くだらないエッセイ⇑

 私たちの日常行動は、90%以上が無意識のうちに行われている。
 たとえば呼吸。「吸ってー、吐いてー」などと、いちいち考えながらやっているわけではない。
 たとえば朝起きてベッドから起き上がり、部屋から出ようとして歩く際に「まずは右足、次は左足」などと、いちいち考えながらやっているわけではない。
 noter のみなさんも、「毎日1投稿」などと考えながら書いているようでは駄目だ。私のように「気がついたら書いていた」という境地になっていただきたい。このように、無意識に平気で嘘をつく私のようにはなっていただきたくないとも思う。

 ところで以前から私は、女性はなぜ、推しの芸能人のコンサートであんなふうに「キャー」と黄色い声を出すのだろうかと思っていた(近年、女性と限定するのはセクハラだと言われるので気をつけなければならない)。
 コンサートだけではない。たとえばデートで男女が絶叫マシンに乗れば、たいがい、「キャー」と叫ぶのは女性である。男性は怖くても「ウオオオォーッ」と唸るのが関の山だ。女性の「キャー」と男性の「ウオオオォーッ」の大きな違いは、それを無意識にやっているのかどうかという点だ。
 男性は「強いところを見せたい」「怖くなんかない」という強がり意識が根底にあり、その意識が「ウオオオォーッ」と言わせている。本当は「キャー」と叫びたいにもかかわらずである。
 女性の場合はどうなのだろうか? ゴキブリを見ても「キャー」などと言わなくなってしまった、肝の据わった妻に聞いてみると、たしかに若い頃は無意識に「キャー」と叫んでいたそうである。黄色い声は、年齢とともに変色し、晩年は僧侶が読経するかの如く「赤い声」になるのだという。赤というのは錆の色(老化)のことか?

 女性や子供が「キャー」と甲高い声を出すのは、原始時代の名残である。男が狩りに出掛けている間、女と子供は留守を守る。その間、女と子供は獣や他の部族に襲われる危険がある。万が一、身に危険が迫った時に「キャー」と甲高い声を発することによって男に知らせるのだ。
 男は、子供の頃は甲高い声が出るが、成長するにつれ野太い声になる。周りに危険を知らせることが出来なくなる代わりに、自分で危険と戦うことが出来る腕力や骨格が発達する。男女の声帯や身体の構造はそのように進化したのだ。おっと、私らしくもなく、真面目に考察してしまった。
 つまり、推しのコンサートでも、原始時代でも同じなのだが、黄色い声とは「私に気づいて―!」というシグナルなのだ。ということにしておこう。

 そういえば、学生時代に「オヤジ」と呼ばれている男友達がいた。風貌が「オヤジ」だったからだ。卒業して数十年経った頃、これまた学生時代の女友達が、東京の新橋で「オヤジ」を見かけた。
「こんなところでオヤジに会うなんて!」
興奮した女友達は、「オヤジ」に気づいてほしい一心で、
「オヤジーーー!」
と黄色い声で呼びかけた。すると、周りのおっさんたちが一斉にこちらを向いた。新橋ですからねえ。

 結論。ここで言える確かなことは、「黄色い声は無意識に、おっさんたちを振り向かせる」ということだ。


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