越智 間九良 (おち まくら)

ばかばかしいことや価値のないことを書いて「まったく、くだらねえなあ」と思われたい作家。『くだらないエッセイ』、連作ミステリー落語&全国酒蔵紀行『落語家探偵 事件ノオト』。

越智 間九良 (おち まくら)

ばかばかしいことや価値のないことを書いて「まったく、くだらねえなあ」と思われたい作家。『くだらないエッセイ』、連作ミステリー落語&全国酒蔵紀行『落語家探偵 事件ノオト』。

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最近の記事

黄色い声は無意識に ⇑くだらないエッセイ⇑

 私たちの日常行動は、90%以上が無意識のうちに行われている。  たとえば呼吸。「吸ってー、吐いてー」などと、いちいち考えながらやっているわけではない。  たとえば朝起きてベッドから起き上がり、部屋から出ようとして歩く際に「まずは右足、次は左足」などと、いちいち考えながらやっているわけではない。  noter のみなさんも、「毎日1投稿」などと考えながら書いているようでは駄目だ。私のように「気がついたら書いていた」という境地になっていただきたい。このように、無意識に平気で嘘を

    • 起きない娘 ⇑くだらないエッセイ⇑

       「家庭内のちょっとしたモヤモヤ」も、積もり積もると家庭崩壊の危険がある。そうならないように、日頃から家族へのケアは重要だ。  私には高校生の娘がいる。自宅からは少し遠い学校に通学しているため、妻が5:30頃には起きて弁当を作っている。私だけが寝ていると、いつか妻の不満が爆発するに違いない。危機管理として、とりあえず妻と同じ時間に起きて「夫婦で子育てをやっています感」や「妻に寄り添っている感」を演出している。  当然、起きるだけで何もやっていないわけではない。新聞を取って来

      • 嗚呼、ピグマリオン ⇑くだらないエッセイ⇑

         先日、とある研修で『リーダーが身に付けるべき褒め方スキル』について講師をしたときの話。   「褒める」ことによって、「あなたに期待していますよ」というメッセージを送り続けると、部下や後輩の業績が上がります。人は、他者から期待されることによって成長するのです…。  とまあ、こんな研修内容なのだが、私は「本当にそうなのか?」と思っていた。過去にも私と同じような疑問を抱いた野郎がいた。アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールだ。疑い深い彼は、実験で確かめてみることにした。

        • 笑点弁当 当選しました! ⇑くだらないエッセイ⇑

           今回はエッセイではない。たんなる嬉しい報告ですがね。  日曜夕方5:30といえば「笑点」ですが、このたび、数量限定で笑点弁当が発売されたのをご存じですか? それで私、急いで予約したところ、見事当選ですよ。  超レアですよ。紫の風呂敷をぱあっと広げますとですね、こんなふうになっているんですね。各品の解説付きです。    どれも美味しかったんですが、春風亭昇太さんプロデュースの「しらすがトッピングされた、ほうじ茶を使った茶飯」はめちゃめちゃ美味しかったですよ。あと、座布団運

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        • くだらないエッセイ
          26本
        • 落語家探偵 事件ノオト
          9本

        記事

          イグnote創作大賞 ⇑くだらないエッセイ⇑

           私のくだらないエッセイを読んでやろうと思って、こちらにアクセスしてくれたあなたならご存じであろう、「人々を笑わせ考えさせた研究」に与えられるイグノーベル賞のことを。ノーベル賞のパロディなのだが、ノーベル賞と同じく、文学賞もあるのだ。  注目すべき受賞がたくさんある。  2016年の文学賞は、死んだハエや、まだ死んでいないハエを収集するよろこびを描いたフレドリック・シェーベリの三巻におよぶ自叙伝に対して贈られた。  なんとも文学的な香りがする。  2006年には、ダニエル

          イグnote創作大賞 ⇑くだらないエッセイ⇑

          貴様のマナー ⇑くだらないエッセイ⇑

           かつて、 『貴様と俺とは 同期の桜』 という歌詞ではじまる軍歌があった。同じ部隊の同僚とともに戦地へ向かう時に、士気を鼓舞するための歌だ。歌詞はこう続く。 『咲いた花なら 散るのは覚悟  見事散りましょ 国のため』  今考えると、悲しい時代、間違った時代だった。当時、「貴様」というのは、国のために命を捧げる同僚や目下の者に対して、敬意や親しみを込めて使われていたのだ。  時は中世、室町時代。  「貴様」というのは、武家の間で使われた「あなたさま」という尊敬語だったのだとい

          貴様のマナー ⇑くだらないエッセイ⇑

          たまらん企業広告「アキレス株式会社」 ⇑くだらないエッセイ⇑

           良すぎてたまらん! おしまい。

          たまらん企業広告「アキレス株式会社」 ⇑くだらないエッセイ⇑

          魅惑の無駄 ⇑くだらないエッセイ⇑

           ばかばかしいこと、くだらないこと、価値のないこと。これらを一般的に「無駄なこと」という。「無駄」は私の心を惹きつけ、私の心をかき乱し、私の理性を失わせる。  私は滅多に他のクリエイターを評しないが、このnoteには、私以上に素晴らしく無駄なことを書いている人がいる。リスペクトするクリエイター「ぜんけい」さんの記事をぜひ読んでみてほしい。その独特のぜんけいワールドに魅了されること間違いなしだ。ぜんけいさんは、いったいどのようにして、このような無駄なことを思いつくのか、私はそ

          魅惑の無駄 ⇑くだらないエッセイ⇑

          教え上手の青木 ⇑くだらないエッセイ⇑

           良い天気なので昼からビールを飲んでいると、前回の『青木のアルバイト事情』の続きを書きたくなった。  私のくだらないエッセイにはあまりスキが付かないが、私は青木のことがまあまあスキだった。変な意味ではなく。  アルバイトの青木は売れない役者だった。何事にも一生懸命取り組む男で、手を抜くということが出来ない奴だ。  当時の職場は人手が足らず、新人が入っても教育する社員が誰もいなかった。そんな余裕が無かったのだ。それでつい、「青木、よろしく頼む」となり、社員だろうがアルバイト

          教え上手の青木 ⇑くだらないエッセイ⇑

          青木のアルバイト事情 ⇑くだらないエッセイ⇑

           何年前だったか、以前の職場に、青木という売れてない役者志望の男がいた。青木は正社員ではなくアルバイトだった。もし芝居の依頼が来たら、すぐに辞めることが出来るようにしているのだと言っていた。  アルバイトではあったが、何事にも一生懸命取り組む男だった。手を抜くということが出来ない奴なのだ。  あるとき休憩室でコーヒーを飲んでいると青木が、役者という仕事について熱く語り始めた。でもなかなか食っていけないので、いろいろなアルバイトを掛け持ちしているのだと言う。 「この前、交通誘

          青木のアルバイト事情 ⇑くだらないエッセイ⇑

          くだらなさのデザイン ⇑くだらないエッセイ⇑

           日本の伝統芸能である落語に『あくび指南』という演目がある。ある男が友人を誘って、あくびの師匠に “あくびの仕方” を習いに行くという実にくだらない噺なのだが、この噺の作者は、いったいどのようにしてこんなくだらないアイデアを思い付いてしまったのか、私はそれが知りたい。  そもそも、くだらない事とはどのようにくだらないのか。つまり、くだらない事というのはどのようなデザイン(構造)なのか。このような『くだらないエッセイ』を書く事に何か意味があるのか、と考えながらこの文章を書いてい

          くだらなさのデザイン ⇑くだらないエッセイ⇑

          失言を笑ってはいけない ⇑くだらないエッセイ⇑

           「口は災いの元」という。私たちは言わなくてもいいことを、つい言ってしまう。失言ともいう。  最強クラスの台風10号が日本を縦断している真っ只中、浜松市長が、 「台風が近づくとなぜか高揚する」 と仰った。翌日の定例記者会見で、 「市民の感情からかけ離れた不適切な発言だった」 と謝罪し、撤回。  正直な人だなあと思った。私もその気持ち、分かる。誠に正直なお気持ちだと思うんだけど、これは「言っちゃいかんかった」だ。「言っちゃいかん」ではなくて、「言っちゃいかん“かった”」となる

          失言を笑ってはいけない ⇑くだらないエッセイ⇑

          落語家探偵 事件ノオト 第九話 犯人は舞い戻る

           小料理屋「七草」の暖簾をくぐって店に入ろうとすると、なにやら店の中で、強面の野郎が女将を目の前にして凄んでいる。テーブルに出刃包丁をダーンと突き立てて、 「手荒な真似はしたあないんや。姐さんに恨みは無い。あるんは旦那のほうや」  一八(いっぱち)じゃねえか。まだ東京にいたのか。  コードネームはワン・エイト。通称、詐欺師の一八。大阪を拠点に犯行を重ねている全国指名手配犯だ。野郎は決まって毎月十八日に犯行に及ぶ。そう簡単には尻尾を掴ませねえ、うなぎみてえな野郎だ。  数カ月

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          落語で考える 文系か?理系か? ⇑くだらないエッセイ⇑

           今回はこの、いろんなところで、あーだこーだ、と論争される「文系か? 理系か?」問題について、古典落語の『三方一両損』という演目を題材に考えてみようと思う。簡単にこの噺のあらすじを書いておこう。                * * * ◆古典落語『三方一両損』◆   江戸っ子で大工の吉五郎が、金三両と書付を入れた財布をどこかで落としてしまった。落とした金のことは忘れて、逆にさっぱりしたいい気分で酒を飲んでいたところへ、左官の金太郎が現れる。金三両が入った財布を拾い、書付

          落語で考える 文系か?理系か? ⇑くだらないエッセイ⇑

          落語家探偵 事件ノオト 第八話 幼馴染の死

           アパートの一室で独身男性の変死体が発見された。  両国警察署の熊倉刑事から、江戸川亭探偵事務所に捜査協力依頼があったのは今朝の事だ。さっそく、四太郎と俺は警察の現場検証に同行することになった。  死亡した男性の名前は阿久津猛(あくつ たけし)。室内には干されたままの衣類、敷きっぱなしの布団、散らかった競馬新聞に週刊誌、吸殻で山盛りになった灰皿、食べかけの食事、床に転がったカップ酒の瓶。台所には、まな板や包丁、鍋、皿が洗われないままで溜まっている。部屋に争ったような形跡はない

          落語家探偵 事件ノオト 第八話 幼馴染の死

          落語家探偵 事件ノオト 第七話 奇妙な死体

           寝床のローバーミニから外に出て、両手を拡げて伸びをした。良い天気だ。今日みたいな日は何か面白えことがあるに違えねえ。白Tシャツ、インディゴブルーのジーンズに雪駄履き、お気に入りのスカーフを首に巻き、羽根挿しの麦藁帽を小粋に頭に乗っける。ピーチクパーチクとさえずるヒバリの鳴き声を聞きながら、気持ちのいい風が吹く川沿いの土手をぶらぶらと歩いてみることにした。  俺は江戸川亭鉢五郎(はちごろう)。落語家、江戸川亭乱走(らんそう)師匠の五番弟子だ。見習いの俺は、四番弟子で探偵の四太

          落語家探偵 事件ノオト 第七話 奇妙な死体