190303 くちべには あかるい今日を 祈るため 俳句時々短歌
【君】
自立しろなんて言われても困ります 私の料理をたべている君
これあげる あれしてやるも 君だから 先に眠った顔がかわいい
泣く私 一緒に生きよと君は言う
うたがいて 信じぬ自己を恥じ入りぬ
月高く 君の来ぬ間に 夕餉冷えゆく
さいごのあめひとつ 食べたがる君にあげましょう
できるなら くつ下までも履かせてあげたい 君は特別
脱力する君を抱き 東京いち幸せなのは私
こどもみたいなひとだよね 君のほうがこどもっぽいよ
人生は 長すぎるよね 君の足揉む
「かんたんに人を信じないの」ママの言葉は信じない
【わたし】
おんなになるのは怖いのだ 血ぬれてだれかに惚れぬくなんて
泣くのはとてもいいきもち とくに涙が渇くとき
いつまでも15歳でいたかった 鏡の中はふつうのおんな
くらいへや だまって壁をみつめたい
絶望か。私はたぶんあとから気づく
まいにちご飯をたべてもきりがない 死ななきゃけりはつかないよ
なにもなく ただ働くは たいへんなこと
わがへやに 帰るとにおふ 草の香よ
くちべには あかるい今日を 祈るため
【春】
春寒く 君見て指に熱もどる
したあとの午後がけだるい桜雨
見送りて ふと強まりし花の雨
部屋に居て雨の音聞き読書する
君の服 たたみてあおぐ 春の風
春の朝 階段冷えて かけおりる
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