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あんのこと。

映画を観てきました。

「あんのこと」は、河合優実さん主演で
2024/6/7に公開された映画ですが、気になっては
いたものの、観る機会を逃していました。

河合優実さんは、
NHKで放送されていた
「家族だから愛したんじゃなくて、
 愛したのが家族だった」
というドラマで、
病気の後遺症で車椅子生活となった母、
他界している父、
ダウン症の弟という
家族の狭間で懸命に生きている主人公の役を
演じられていました。
エッセイが原作で、
実在する方が元になったドラマです。

そのドラマで初めて拝見しました。
これまでは、俳優さんといったら自分よりも
大人の方々でしたが、段々と自分よりも
若い俳優さんも活躍されるようになってきて、
河合さんも若いながら、素晴らしい演技を
されるなと注目して観ていました。


「あんのこと」は、
公開から時間が経っているので
今現在は大々的に上映されてはいませんが、
今でも限られた劇場にて
期間限定でやっているところもあり、
行けそうな距離の劇場でも上映予定があったので、行ってきました。

※以下、ネタバレを含んでおり、
映画の内容も虐待や薬物依存などのテーマが
盛り込まれているので、
苦手な方はこの先の閲覧を
お控えいただければと思います。








21歳の主人公・杏は、
幼い頃から母親に暴力を振るわれ、十代半ばから
売春を強いられて、過酷な人生を送ってきた。
ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受けた彼女は、多々羅という変わった刑事と出会う。
大人を信用したことのない杏だが、
なんの見返りも求めず就職を支援し、
ありのままを受け入れてくれる多々羅に、
次第に心を開いていく。

ちょうどその頃、新型コロナウイルスが出現。
杏がやっと手にした居場所や人とのつながりは、
あっという間に失われてしまう。
行く手を閉ざされ、孤立して苦しむ杏。

「あんのこと」 HP より


あらすじを観るだけで心が苦しくなるような作品。
実話を元にしているそうです。

この作品に限らず、
こういう話はフィクションだからこそ
描けるんだよね、と思ってしまうことも
多々ありますが、
"事実は小説よりも奇なり"
という言葉があるように、
現実でもこういうことが日常的に
起こっているのだろうなと思い知らされましたし、現実の方がさらに過酷な境遇にいる方々も
存在するのだろうなと胸が締め付けられました。


幼少期に信頼できるはずの大人から
愛情を受けずに育つと、愛着形成不全となり、
成長してからも
周りの人を信用できず、世間を憎み、
孤独に生きる道を辿ることになってしまう。

乱暴に言ってしまえば、
こちらの意思とは無関係で、身勝手に
この世に生を受けさせられたのにも関わらず、
自身でそれを終わらせようとすると
「命を粗末にするな」
などと言った綺麗事を言われるこの世界。

主人公の杏も暴力や売春を実の親から
強いられるという人生。
そういう人生だったからこそ、
幸せになる術も自分を大切にするという意味も、
きっと知らずに育ったのだろうなと思いますし、
杏の希望はどこにあるのだろうと、
涙が止まりませんでした。

その一方で、
見返りを求めずに自分のために尽くしてくれる人や
学歴や家族関係といった背景は一切気にせず、
自分自身を見てくれる大人との出会いがあり、
次第に心を開いていく杏の姿もありました。


そんな中で、
コロナというパンデミックが襲いました。

私は、2020年のコロナ真っ只中で
看護師1年目となったため、その職業柄、
むしろ仕事は増える一方でしたし、
補助金などの手当もあったり、
人との関係が途絶えることもありませんでした。

けれど、
実際にコロナ禍では、倒産やリストラ、
学校、コミュニティなどの居場所の閉鎖といった、社会との繋がりが途絶えてしまった方々も
多かったと思います。

社会からの孤立は、心身ともに疲弊している人々をさらに追い詰める要因となっただろうなと。


誰も信用せず、孤独に生きてきた杏が、
ようやく心を開いて、
徐々に社会とも繋がりを深めてきたところでの
出来事。

なぜ杏ちゃんにばかり、
このような不幸が襲うのだろうと
世の中の不条理さを感じましたし、
私自身、
どうして自分だけこんなに不幸なのだろうと
思うことが多々ありますが、
それでも自分よりももっと不幸な人がいる、
と自分の苦しさから目を背けてしまうことも
あります。

けれど、実際、自分が不幸だと思うことは、
他の人が抱える不幸と比較できるものでは無いし、
辛くて、苦しい思いをしていることは
確かなのだから、自分で自分を下げて、
さらに苦しくなる必要は無いんだろうなと
感じました。


私は、これまで映画館で映画を観るということを
あまり重要視しておらず、
映画館に行くのは友人との付き合いくらいで、
貧乏性ということもあってか
気になる映画があっても、地上波放映まで待とう
というスタンスでした。

そのため、
今までは映画館に行くのは年に1-2回程度。

ですが、うつ病となってから、少し気持ちが
上向きになってきた休職している期間、
私は泣きたくても、強がりとか見栄が勝ってしまい
人前で泣いたりすることがあまり出来ないので、
とにかく泣きたくて
映画館で映画を観たくなりました。

それから、
映画を観るようになり、あの大画面の迫力ある映像と質の良い音響などが相まって、
家でなんとなく観ている映画と比較すると、
映画館で物語にしっかりと没入できた作品の方が
やっぱり心に残るものが違ってくるなと
感じるようになりました。

なので、この2ヶ月だけで5回映画館で
映画を観に行きました。

映画好きと呼べるほどでは無いのですが、
これまで年1-2回程度しか映画館に
行っていなかった私からすると、
かなりの頻度だと思います。

何でもかんでも節約だとか、
安いから、無料だからとかばかりを
意識するのでは無く、
お金を払って良い経験をするということも
大切だなと思えた出来事でした。

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