守りたかったのは、あなたとわたしの感情でした。
「好きな自分になりたい」「好きな人と仕事がしたい」。
半年前のわたしは、心の中に詰まった溢れるほどの「好き」という気持ちに背中を押されて、憧れていた阿部さんが主催する「企画メシ」に飛び込んだ。
そして、12月11日。
とうとう「企画メシ」を卒業した。
自分自身と向き合い、貪欲に学びを吸収し、何度もつまずき、時には号泣し、それでも前へ前へと進んできた、半年間。
そんな、人生でいちばんの挑戦期間を経て、わたしは結局、どんな自分に成長することができたのか?
そしてこれから、わたしはどういう企画をしていく人になるのか?
そこに至るまでの想いや奮闘も含めて、すべてまっすぐに、ここに書き留めておこうと思う。
企画メシ終盤戦で、どん底に落ちる
最終回が「自分の企画」だということは、前から知っていた。だからこそ、第6回目の「食の企画」のとき、わたしはひどく焦っていた。
企画メシが始まる前からいちばん楽しみにしていた「食の企画」で、わたしは心の弱さと迷いから、自分らしい企画を出すことができなかった。
「食」は自分のもっとも得意な分野であるはずなのに、こんな企画を出してしまって恥ずかしい。今まで一体、自分は何を学んできたのだろう?半年前から、結局何もできるようになっていないじゃないか……
自己嫌悪に浸っていたそのとき、さらに追い討ちをかけるような出来事があった。
ちょうどその頃に書いたnoteの文章を読んだ親しい人に、
と言われたのだ。
ただでさえ「自分の得意分野」で力を発揮できなくて落ち込んでいたそのとき、わたしの中にかろうじて留まっていた自信は、完全に失われることとなった。
「自分には、何もない。自分の価値もわからないのに、誰かのための企画なんて、考えられない……」
そんなどん底から這い上がるための手助けになってくれたのが、その次に実施された「ラジオの企画」だった。
どん底に落ちて、鍵をみつけた
「食の企画」と、「伝わらない」と言われたわたしのnoteの文章には、共通点があった。
それは、「ひとりよがり」になってしまっていた、ということ。
相手の目線で物事を見ることができていなくて、相手にとって身近ではない言葉や表現を使って、相手の心を置いてきぼりにしてしまっていた。まったく、寄り添うことができていなかった。
だから、「ラジオの企画」ではとことん声を聞いて、「この人だったら、どう思うかな?」と具体的に相手の顔を想像して、何度も言葉を書いては消して、書いては消して、を繰り返した。
その結果、ちゃんと伝えたい人に、伝えることができた。
そして。
課題とは別に、企画生に向けて「本当は自信がない話」をした。
これが思わぬことに、「自分の企画」 をみつけるための大事な鍵になったのだ。
"好き"の理由は、"人間らしさ"だった
課題で出したラジオ自体は好評をもらうことができたけれど、B面としていた「自信のない話」について、最初は特にコメントがなかった。
もとからの友人たちには、「すごくよかった」「共感できる」と連絡をもらったけれど、企画生のみんなには、どう映っていたのだろう……
正直わからなかったから、それも含めて、声を聞くことにした。
企画メシの第一回、「自分の広告」のときは、信頼している友人たちに声を聞いた。最後の企画である「自分の企画」は、半年間そばでわたしの企画を見てくれていた仲間に、声を聞きたい。そう思った。
すると、返ってきたのはこんな言葉たちだった。
アンケート結果を開けたら、ここに書ききれないくらい、たくさんのあたたかい言葉たちが四角い枠の中で輝きを放っていた。
半年間、画面越しでは何度か話す機会もあったけれど、長年一緒に過ごしてきたわけではない、企画生。それなのに、わたしのことをちゃんと見てくれていて、こんなにも熱のこもった言葉をくれて。
そのこと自体に心が熱くなったし、なんて優しいのだろうと感動したし、わたしはもっと、人のことを信じてみてもいいのかもしれない、と思った。
「自信がないわたし」も含めて、好きだと言ってくれる人がいる。
むしろそういう「人間らしさ」があるからこそ、そしてそれを包み隠さず言葉にして伝えているからこそ、魅力的だと言ってもらえている。
このとき、わたしはようやく気づいた。
「前向きで、好きなことがたくさんある岡崎菜波」だから「好き」「憧れです」と言ってもらえていたのではなくて、「弱くて、自信がなくて、それでも必死にもがいているところを隠さずに、夢中で努力し続けている岡崎菜波」だから、応援してもらえていたのだと。
守りたかったのは、 "感情" だった
8人の企画生からもらった言葉を何度も何度も読み返しているうちに、わたしが守りたかったのは、「キラキラした自分」なんかじゃない、ということに気づいた。
わたしが本当に大切にしたかったのは、好きな自分になりたいと願う切実な想いや、理想と現実のギャップに苦しむ諦めきれない気持ちや、それでも少し、夢に近づいたときの期待や幸福感、そんな感情の一つひとつだった。
そういえば、わたしが3年前、noteを書き始めた理由も、行き場のない想いをなかったことにしたくなくて、言葉を残したことがはじまりだった。
世の中にはきっと、見て見ぬふりをした方が、傷つかないと思うようなことや、認めてしまうと苦しいから、なかったことにしてしまう感情や、自分の真ん中にたしかに存在するのに、誰にも言えない想いが、たくさんあるだろう。
それも含めて自分自身なのに、なかったことにしたら、どんどん自分が自分じゃなくなってしまう。
これまで文章を書き続けてきた理由と、岡崎菜波という人間が生きる意味が、この瞬間、はじめてきれいに重なった気がした。
どうしても "伝わる" を諦めたくなくて
これは単なる意地なのかもしれないけれど、課題提出の前日、わたしは2日前から完成していた課題をすべて白紙に戻して、一から企画を練り直した。
一生お蔵入りしてしまうのもかわいそうなので、日の目を見ることがなかった方の企画も、ここに載せておこうと思う。
見ての通り、最初の企画は文章だけで構成されていた。
けれど、このとき頭の中にふっと疑問が浮かんだのだ。
きっと、どんな企画を出しても、わたしをずっとそばで応援してくれていた人や、好きだと言ってくれる人には、届くはず。
だけど、今まで交わらなかった人の心には、この文章だけでは、届かないのではないだろうか?そもそも、「読みたい」とすら思わないのではないか?これは、相手の心に、寄り添った企画になっていないのでは?
「言葉で伝えるのが得意」なんだから、この企画でも、充分自分らしい企画と言えるかもしれない。だけど、「自分らしさ」という言葉を正当化して、それを言い訳に使う自分からは、卒業したかった。
わたしはやっぱり、自分を諦めたくなかったのだ。
「自分の広告」をつくって、誰にも「推し」に選ばれなかった、半年前の自分。「わかってくれる人にだけ、わかってもらえればいい」と意地を張っていた自分を卒業して、「伝えることを、届けることを、諦めない」自分になる。
これが、わたしにとっての「自分の企画」のリベンジだ。
そんな想いで、締め切り前日の21時、わたしは「まだ、届いたことのないあなた」を思い浮かべ、行ったり来たりしながら、この企画をつくりあげた。
わたしの意地は、あなたに届いた
そうして「自分の企画」を提出した、一週間後。
最終講義での発表の後、2つの嬉しいことがあった。
1つは、はじめてお話する企画生に声をかけられて、
「岡崎さんの発表、すごくよかったです。」
と、まっすぐな言葉を贈ってもらえたこと。
2つ目は、わたしの発表を聞いて「感動した」と言って、
その後の懇親会で、手紙を書いて届けてもらえたこと。
そのときに言ってもらえた言葉の一言一句を覚えているし、表情や周りの空気、室内の明かり、それらすべてが高揚感と幸福感とともに、はっきりと心に残っている。(もちろん、もらったお手紙も、大切なお手紙箱にしまった。)
そのことが何よりも嬉しくて、ほっとして、涙が出そうになった。
伝える方法 < 伝えたいという想い
必死で駆け抜けてきた、半年間。
こんなにも、誰かに「伝えたい」という想いで頭や身体や心をフル回転させたことは、今までの人生で一度もなかった。
「伝わらない」ことの苦しさ、「伝わった」ことの安心感や喜び。
「伝える」ためのノウハウを学ぶことよりも、「伝えたい」という想いを持って、ギリギリまで試行錯誤する経験を通して、たくさんの感情を知ることができたことが、何よりも企画メシで得た「自分の収穫」だったなあと思う。
きっとこれからも、「伝わった!」と、「全然伝わらない…」を、何度も何度も、行ったり来たりするのだろうなと思う。
まだまだ、わたしは「伝える」ことに対して胸を張って「完璧です」とは言えない。
だけど、「伝えたい」という想いはこれからもずっと変わらず持ち続けているし、「そのために、諦めない」ことは、ここで宣言しておこうと思う。
"わたしを生きる。言葉を紡ぐ。"
これが、わたしが最終発表で口にした宣言だった。
"好き"なだけじゃない、自分の感情を素直に言葉にして、届けていくこと。その言葉やわたしの生き方に出会った誰かが、
「自分も、こんな感情を抱いてもいいんだ」
「このままの自分で、生きてみたい」
そう思えるような、小さなきっかけをつくる人になる。
これまでは、企画生や阿部さんに向けて、書いてきた部分が多かったけれど。
あなたにも、伝わっていますか?
どうか、あなたの声を聴かせてもらえたら、嬉しいです。
これから先も、まだ出会ったことのない、あなたの心に届きますようにと願って。わたしはわたしのままを生きて、言葉を紡いで、伝えていきます。
あなたの感情を守る人
岡崎菜波より。
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