はじめての移住・結婚・転職を経て。5ヶ月間の振り返り
京都への移住、結婚、同棲、実家からの独り立ち、転職。これらは今年、わたしの人生に起きた変化のすべてだ。
あまりに多くの「新しいこと」が一度に始まったから、それぞれに適応するのに精いっぱいで、気づくともう、5ヶ月が経とうとしている。
特に、新しい職場で働き始めた3月からは、物理的にも精神的にも慌ただしく、余裕がないこともしばしばで、正直「移住・結婚・転職をして、毎日がハッピー!」と胸を張って言えないことも多かった。
そのこと自体に後ろめたさを感じたり、思い描いていた理想の暮らしができないことへの焦りや不安に押しつぶされそうになったり、この数ヶ月はなかなか人に相談できない悩みも多かった。
5ヶ月間、嬉しいことも楽しいことも、つらいことも苦しいこともたくさんあった。
それを一括りにして「よかった」「悪かった」と言ってしまったら、なんだか大切なものが見えなくなってしまう気がする。
だから、ひとつずつに対して振り返ってみよう。そう思い立って、このnoteを書いている。
2月、憧れの京都へ移住して
まずは、いちばん大きな変化である「はじめての移住」について。大好きな京都での暮らしを通して感じる、よかったこと、大変だったこと。
高校生の頃から、食べログやGoogleマップにひたすら保存してきた「京都で行きたいお店」の数々。旅行だと、土日は混んでいて入れなかったり、アクセスが悪く、限られた日数の中で足を伸ばすのが難しかったり。
けれど住んでしまえば、毎週末チャンスがある。出かけるたびに「今日はここへ行こう」「先週行けなかったから、今週末は予約して行ってみよう」と色々なお店に行くことができて、毎週小さな夢が叶っていくような感覚。
東京と比べるとどこも人が少ないから、都心に出る電車もほとんど座れるし、人気のカフェもひとりでゆっくり過ごせるし、心が疲れることがあまりない。
特にわたしたちが住んでいる北区は、自然が多くて鴨川も都心よりのんびりした時間が流れているから、散歩にもってこいの場所。
最寄りのスーパーで新鮮な野菜が買えるのも、野菜好きにはとっても嬉しい。
大変だったことは、(今もだけれど)家の周りに虫が多いことと、夏はとにかく暑いこと。
自然豊かな地域なので、虫が多いのは仕方ないかな……と思ってはいるものの、玄関の扉を開ける瞬間や、ベランダの窓を開けるとき何か入ってくるんじゃないかと未だにひやひやしてしまう。
そして、夏の暑さ。「京都に住む」と言うと、一言目にくるのが「暑いから(寒いから)覚悟しておいたほうがいいよ」。
寒さには比較的強いから問題ないのだけれど、暑さはだめで、夏が来るのをずっと怯えていた。本格的に夏がやってきた今、たしかに東京とは全然違う質の暑さを実感している。
外に出た瞬間、もわっとした空気が身体を覆う感覚は独特で、はじめは湿度が高すぎて窒息するんじゃないかと思った。
わたしたちが住んでいるエリアは都心よりも2度くらい涼しいようで、たまに風も吹くから過ごしやすい夜もある。
だけどできることなら、夏は家から出たくない。そう思ってしまうほどの暑さに、慣れる日はくるのだろうか……。
3月、二度目の転職をしてみて
京都移住に伴い、わたしと彼は同じ会社をほぼ同時に退職し、お互い新しい会社に転職をした。
前職は学生時代からお世話になっていた会社で、個人的にも思い入れが強かった。
だから最終出社日は名残惜しさと寂しさを抱えながらも渋谷駅を去ったのだけれど、結局転職先も渋谷になって、なんだか不思議な気持ちだ。
オフィスに出社するのは月に一度、平日5日間。しばらくは東京と京都の二拠点生活をしている。
転職自体は二度目だけれど、一度目は紹介だったから、「転職活動」をして全く知り合いのいない環境に飛び込むのは今回がはじめて。
入社して4ヶ月が経った今、感じているよかったこと、大変だったこと。
フルリモートで働くようになり、「働く環境」の面で余計なストレスを感じなくて済むようになったのは本当にありがたいなあと思う。
暑さや寒さ、急な雨、満員電車のストレスなど、東京にいた頃は憂鬱で仕方なかったことが今はきれいさっぱりなくなって、毎日心が安定している気がする。
この働き方を選ばせてくれる会社には、改めて感謝……!
一方で、フルリモートでの働き方は難しい部分もまだまだ多い。
出社がメインの会社なので、入社当初は社内で起きていることが見えなくて不安になったり、気を遣って疲れてしまうことも。
忙しい時期は一歩も外に出られず身体中が痛くなったり、気分転換ができずに思考が後ろ向きになってしまう夜もあった。
だけど今は「できない自分」や「簡単ではない現実」を受け入れて、焦らず少しずつ、良い方向へ変えていけるように一つひとつと向き合っている最中。
油断しているとつい高くなってしまう、自分への期待や理想を和らげながら、自分のペースで進んでいきたい。
4月、結婚・同棲をはじめて
27年間実家を出たこともなく、自分の意志で引っ越しをしたこともなかったわたしは、約1年半お付き合いしていた彼との結婚を機に、はじめて独り立ちをした。
今振り返ってみると、今年あった変化のなかでこれがいちばん大きな挑戦だったのかもしれないなあと思う。
そんな結婚・同棲をはじめて、よかったこと、大変だったこと。
「結婚」によって変わったことはあまりないのだけれど、一緒に暮らしてみてよかったなあと思うのは、やっぱり毎日好きな人と会えること。
同棲する前は、「毎日一緒にいたら、飽きてしまうのかな…」と思ったりもしたのだけれど、今のところは全くそういう気配がない。
仕事でうまくいかない時、落ち込んでいる時彼に話を聴いてもらうと安心するし、気分転換に夜、散歩に連れ出してもらうと前向きになれる。
彼と一緒に暮らしていたら、実家にいた時よりもすこし健康状態がよくなった気がする。
実家をはじめて出たわたしにとって、暮らしや家事の基準が専業主婦の母の基準になっていて、理想の暮らしどころか「仕事をしながら、最低限の暮らしをする」ことの難しさに直面した。
自分にとっては「最低限」でも、それは母が日々手間をかけて作り上げてくれていた環境。
床に埃が落ちていないことも、排水溝がきれいなことも、毎晩食卓に4~5品以上並ぶことも、贅沢だとはわかっていても基準として身に沁みついていた。
なかなかその理想を下げられなかったわたしは、この4ヶ月間、頑張りすぎて余計にストレスを感じたり、彼に泣きながら家事がしんどいと話したり、自分の無能さに打ちのめされて放心状態になったりと、感情がジェットコースターのように上下する日々を送っていた。
自分の未熟さを痛感する中で、少しずつ現状を受け入れ、諦めたり手放したりしながら、最近ようやく「ちょうどいいバランス」を見つけつつある。
まだまだ未熟で、一緒に暮らしている彼に対してつい感情的になってしまうこともあるけれど、愛情と思いやりだけは忘れずに、ふたりで暮らしをつくっていけたらなあと思う。
2023年、3つの大きな変化を経て
京都に移住して、今月末で5ヶ月ちょっと。
一気にいろんなことが始まって、最初は理想に対して現実が追いつかず、自分を責めたり落ち込んだり焦ったり、これからの生き方が分からなくなったり。
あまりに色々なことが変わりすぎて、自分の心がどこに向かいたいのか分からなくなり、これからどうやって生きていけばいいんだろう?と悩む夜もたくさんあった。
感情的になりすぎて、悲しみや苛立ちを抑えられなくなったり、彼を傷つけてしまったりすることも何度かあったと思う。
移住・転職・結婚と、3つの大きな変化を通じていちばん強く感じているのは「現状の自分を受け入れること」の大切さ。
はじめての町で暮らすことも、新しい環境で人間関係を築き、仕事を覚えて活躍することも、価値観の違う誰かと円満に生活をすることも、一つひとつの家事をこなすことも。
全部はじめてなのだから、最初からうまくできるはずはないし、同時並行ですべてを完璧にこなすのは相当な体力が必要だ。
だからまずは現実を受け入れて、その中でも「できていること」や「幸せに感じること」をみつけていく。
今の自分に必要なのは、そういうしなやかさなんだろうなあと、最近ようやく気づきはじめている。
気を抜くとつい「もっと良くしよう」という思考になってしまう自分の心をなだめながら、身体の力を抜いて、目の前の日々を愛せたらなあと思う。
岡崎菜波 / Nanami Okazaki
Instagram: @nanami_okazaki_
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