『ざんねんなスパイ』(新潮文庫)一條次郎
こんにちは☀️七海です。
今回は一條次郎さんの『ざんねんなスパイ』の読書感想文です。
帯を見て、即購入しました!
大好きな小説家である伊坂さんがここまで褒めていたら、読まないわけにはいきません🤩
🕶あらすじ🕶
73歳の新人スパイ、ルーキーはある街の市長の暗殺のために二ホーン国に派遣された。
しかし、その暗殺のターゲットである市長と友達になってしまった。
ルーキーは無事に任務を遂行することができるのか…。
🍹感想🍹
市長を暗殺しにこの街へやってきたのに、そのかれと友だちになってしまった……。
この出だしから引き込まれました。
この出だしを読んだだけで、ハードボイルド系の話ではないことはすぐにわかりました。笑
「スパイ」「暗殺」といった言葉からハードボイルドを期待した方には少し物足りないかもしれませんが、私は楽しく読めました。
主人公のルーキーは73歳のおじいちゃん。
しかも、73歳にして任務を任されるのは初めて。
正直、お人好しだし、ちょっと抜けてるし、あまりスパイ向きという感じでもありません。
だけど、ルーキー自身はどこから来るのか分からない自信を持っています。
もう本当にかわいいおじいちゃんでした。
途中から、このおじいちゃんには人を殺してほしくないなーと思いながら読んでいました。
主人公が天然おじいちゃんであることもあって、全体的にコメディ要素が強いのですが、要所要所に人種差別や性同一性障害者への差別意識に対する作者の抵抗感が読み取れました。
かといって、説教臭さや押し付けがましさのようなものは一切ありませんでした。
人種差別や性同一性障害についての問題をコメディの中で、重くせず、なおかつ誰のことも傷つけることもなく取り上げるのってすごく難しいことだと思います。
一條次郎さんの作品ははじめて読みましたが、すごい技術だなと思いました。
一條次郎さんの他の作品もぜひ読んでみたいと思いました。