要約:「独学の技法」山口周
要約
「知的戦闘力を高める」という目的を達成しようとしたときに重要なのは、システムとして独学を行うことだ。
独学というものは、大きく4つの構造に分けられる。それは、「戦略」「インプット」「抽象化」「ストック」である。
①「戦略」とは、何を学ぶか決めることであり、同時に何を学ばないかを決めることである。戦略を立てる際の方向性は、「ジャンル」ではなく「テーマ」が望ましい。テーマとは論点であり多方面からアプローチをかける余裕を持つため、知識をクロスオーバーさせル事ができ、ユニークな人物になりやすい。
②「知の創造」は予定調和しない。「インプット」においては、古典的な書籍を、多くのジャンルに渡って読むべきである。自分の好きな味ばかり食べないこと。ゴミを食べないこと。食べられるものを食べること。食欲の湧かないものは食べないこと。
③一つの知識は一つの事象を解決するためにある。けれども私たちが筆者と同じ事象に出会うことは少ない。得た知識は「抽象化」し、汎用性のある知識に昇華させるべき。知識を貯めれば確かに専門的にはなれる。しかしそれは知恵があることと同義ではない。
④情報は可視的に「ストック」せよ。記憶に頼るな。ストックは洞察の種となり、常識を相対化するメガネとなり、創造性の発揮に加算ではなく乗算を持ち込む車となる。
肯定観点から
・知識は未加工の素材、というのは納得。調理しなければ腹に落ちることもなく腐るというのは判り良い。
・記憶することに拘っていないのは斬新。読書法を謳う多くの書籍は、脳の仕組みを明らかにしていかに忘れないよう覚えるか、ということに拘泥していなかったか。
・独学というとインプットに比重をおいてしまいがちだが、そのメガネを外してくれる。情報を得ることはスタートラインでしかない。
否定観点から
・記憶せずストックせよと言っておきながら、目指すべき教養人として引かれる例ではリア王をそらんじる人の例が出る。外部装置に記憶を委ねるというのは、脳というワーキングスペースにものを置かないことではないのか?
・難癖に近いかもしれないが、情報という魚をイケスで生かしておけというのはよく分からない。知識を未加工の素材というならば、殺して加工していない魚は知識そのものではないか。
メモ
・本で得た情報は未加工の素材
・「組織」について学ぶ時「組織論」「リーダシップ論」を読むのはジャンル的。「歴史文学」「動物行動学」「政治哲学」などを読むのはテーマ的。
・大量の読書も知的好奇心によって動かされるというよりはインテリを気取りたいという気持ちに駆動されている(そういう人もいるという事
・万人向けの書物は常に悪臭を放つ書物である(ニーチェ
・アインシュタインやエジソン、ライト兄弟たちは皆、独学でその栄光にたどり着いた。ダーウィンは地質学の仕事につきながら生物学を独学し「種の起源」を著した。
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