七色メガネ

元国語教師の PM 見習い。本をたくさん読み、そしてたくさん忘れる。しかし、よく考える。

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最近の記事

読解 『投資としての読書』 本山裕輔

▼ 要約 ( 1,743 字 )□ 問い  本を読んだのにも関わらずその内容を説明できないことを、「費用で終わる読書」と呼んでいる。ここにおける損失は書籍代のみならず、その本を読むのにかかった時間や冊数というものも乗算されて深刻なものとなる。読書を単なる費用に終わらせないために必要なのが、「費用の資産化」、つまり「読書を資産化する」という考え方である。では私たちはどのように読書に取り組めば、読書を、すなわち費用を資産化できるのだろうか? □ 答え (1/3) 独学の前提

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    • 新生祭を歩く

       イフリートの怒りを思わせるような日差しから逃れるため、流麗な踊り子の舞に目を惹かれつつも私は足速にゴールドコートへと駆け込む。いつもであれば煌めく黄土色が異邦の私を押しのけるかに思われるその空間は、今日に限っては郷里の草花ほどに優しく私を迎えてくれるように感じる。それは頭上に結ばれた無数の言の葉の群れのためだろうか。噴水を取り囲むように中空に留められた色とりどりのそれらは、無機質であるとは思えないほどに目に優しい。今夜は新生祭であるらしい。  冒険者の、銅刃団の、門番の書

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      • タムタラの墓所を歩く

         青狢門を抜けると私の視界は忽ちに木々で覆われた。他国であればその一つ一つに銘がついていてもおかしくないような巨樹の群れを眼前に迎え、改めてここが森都なのだと思い知らされる。天にも届きそうな木々の上部にまで及んだ苔が言外に悠久の時の流れを語る。遠目に獣の姿を確認した私は腰に杖が間違いなく差してあることを確認し、チョコボに跨った。  夜の森は意外にも静かだ。耳に届くのは草の間を縫う何者かの足音だけ。揺らめきもせずに確かに道を照らす灯火を標に私は西の街路を進む。  翡翠湖に端を

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        • 抜粋意訳 『熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理』 トム・デマルコ

          リスクとは何か「リスク」とはまだ起きていない問題のことを指し、「問題」とは既に現実に発生したリスクのことを指す、と整理することができるだろう。 多くの人は既に発生した問題に対してどのように対処すれば良いかと言う「問題管理」については準備を重ねる。しかしそもそも問題が起きないようにするための施策、つまり「リスク管理」についてはあまり考えていないようだ。あまり考えないどころか、全く発想しないことすらある。 ほとんどのプロジェクトマネージャーは「やらなければいけない仕事」につい

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        • 読書録
          29本
        • エオルゼア紀行
          2本
        • 雑記録
          31本
        • 音楽考
          8本

        記事

          要約 『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』 唐澤俊輔

          全体要約 カルチャーとは、その企業における文化や行動規範のことである。それは自然発生的に生まれるか、あるいは人工的に作られるかの 2 系統が存在するが、自社の強みとしてアピールする、あるいは継続的に醸成させて管理していくには、意識的につくられたカルチャーであることが望ましい。  カルチャーをつくるとはつまり、会社としてのビジョン・ミッションを掲げ、カルチャーモデルを定義し、ピープルマネジメントを通じてカルチャーを浸透させ、社員一人一人がそれを体現できる状態をつくることに他な

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          要約 『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』 唐澤俊輔

          要約 『くらしのアナキズム』 松村圭一郎

          全体要約 アナキズムとは本質的に、特殊でもなく、攻撃的な思想でもない。歴史的に見れば「支配権力から逃れた状態」を指向する想いは、むしろ人類にとってのデフォルトだ。そしてその思いが国家転覆や革命につながることは稀なケースであり、それをアナキズムの全体と考えるのは誤っている。  21 世紀にあってアナキズムとは、国家や権力に頼らず、民主的に生活しようとする意思である。自分たちで「公共」を作り、守ろうとする自立の志である。それは普段の生活に根差して実現されるものであり、その点にお

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          要約 『くらしのアナキズム』 松村圭一郎

          抜粋要約 『予想どおりに不合理』 ダン・アリエリー(2)

          前置き・本 note は当該図書に関する抜粋要約です。全ての内容を要約したものではなく、特に有用だと思った内容について抜粋して要約しています。 ・本 note は (1) と (2) により構成されます。 無料のクッキーの力# 真理と対策  先に無料に関する考察と、市場規範と社会規範の考察を述べた。では、これらが混在する場合は何が起きるだろうか?  実験から私は、やりとりに金銭が絡まないとき ( 社会規範に則って行動が行われるとき ) 、私たちはあまり利己追求をせず、他者

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          抜粋要約 『予想どおりに不合理』 ダン・アリエリー(2)

          抜粋要約 『予想どおりに不合理』 ダン・アリエリー(1)

          前置き・本 note は当該図書に関する抜粋要約です。全ての内容を要約したものではなく、特に有用だと思った内容について抜粋して要約しています。 ・本 note は (1) と (2) により構成されます。 概要 経済学者も、政策立案者も、シェークスピアも、人間の心を高く評価している。人間は完璧な理性を持っていると信じており、特に経済分野では人間は常に合理的な行動を取ると仮定している。  しかし、人間がどれほど完璧とは程遠いのかということを私は述べたい。私の考えでは、私たち

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          抜粋要約 『予想どおりに不合理』 ダン・アリエリー(1)

          行動分析学における基礎用語に関する備忘録

          行動分析学における思考フレームの特徴 一般的な原因と結果に関する考察フレームのあり方を、我々は「医療モデル型」と呼んでいる。それは、「行動には必ず原因があり、それは行動の前に存在する」という考え方である。例えば「禁煙を決意したのにタバコを吸ってしまった」という事象についてその原因を考察するとき、「その人の意志の弱さ」に原因を求めるのが医療モデル型だ。( この名前は、病気には必ずそれを誘引する原因がある考える医療における考え方からとっている。 )  対して行動分析学はそのよう

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          行動分析学における基礎用語に関する備忘録

          要約 『服従の心理』 S・ミルグラム

          本要約について 本書の内容は大別すると、「実験及び考察の概要」「実験の詳細」「考察の詳細」という順で論が進められる。しかし本要約においては、「考察の要約」と「実験の要約」という順で整理するものとする。 全体概要 我々は実験を通し、人がどれだけ権威に服従するのか、あるいは服従を拒否する時の条件は何かを見極めることを試みた。この電撃実験は一般良識で考えるとかなり反道徳的な側面を持っていたが、しかし予想に反して多くの被験者は反発することなくこの実験を最後までやり遂げる結果となった

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          要約 『服従の心理』 S・ミルグラム

          抜粋要約 「Leader's Language」 L.デビッド・マルケ

          前置き・本記事は、「Leader's Language 言葉遣いこそ最強の武器」( 東洋経済新報社 ) の抜粋要約である。 ・記事筆者の主観により、特に有用と思われる箇所を抜粋した上で要約を行なっている。 ・価値ある考え方を切り出していることは保証する。 ・筆者の考え方の全てを切り出していることは保証しない。 全体要約 スポーツと同じように、リーダーには「特定の状況ではこうするべき」というようなパターンが書かれたプレーブックが必要である。だが周囲を見渡してみると、確かにプレ

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          抜粋要約 「Leader's Language」 L.デビッド・マルケ

          要約 『幸福論』 ラッセル(2) 幸福の方法について

          それでも幸福は可能か ここまで多くの不幸を俯瞰してきたが、だからと言って幸福になることはできないという結論を出すつもりは私にはない。  現代社会の中では、科学者の生活の中にこそ幸福のあらゆる条件が実現されていると言えるだろう。彼らは、己の能力を最大限に使う仕事に従事している。そして彼らは、全ての人から尊敬される。  また、主義主張を信じる人や趣味に没頭する人もまた、幸福であることが多い。何かの信条を勧めるわけではないが、私が観察した限りでは、強く信じるものがある人は総じて幸

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          要約 『幸福論』 ラッセル(2) 幸福の方法について

          要約 『幸福論』 ラッセル(1) 不幸の原因について

          全体要約 現代社会において、多くの人々が自らが不幸であると感じている。不幸の原因は大別すれば 2 つ、社会制度と個人の心理である。前者について、特殊な例を除けば個人は影響を及ぼしえないが、後者については個人の干渉の範疇であり、それを善なる方向に導くことができたならば、人は幸福に達し得る。そこで考えるべきは 2 つ、自らの内面の調和と、自らの外界への興味である。  私たちは容易に自己の殻へと閉じこもる事態に陥る。あるいは、自らの関心を自らにのみ向ける自己中心的な考えに囚われる

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          要約 『幸福論』 ラッセル(1) 不幸の原因について

          TOC (制約条件の理論) の考え方を学ぶ

          TOC (制約条件の理論) ってなに? TOC とは、お金を稼ぐという企業共通のゴールを達成するために、その達成を妨げる制約条件に注目し、改善を進めることで、企業業績に急速な改善をもたらそうとする経営哲学、あるいは経営理論のことです。 誰が、いつ提唱したの? イスラエルの物理学者であるエリヤフ・ゴールドラットが、1984年に出版した「ザ・ゴール」という書籍の中で理論を提唱したのが始まりです。  同書はベストセラーとなり、続編である「ザ・ゴール2」や TOC の応用を説く「

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          TOC (制約条件の理論) の考え方を学ぶ

          要約 『群衆心理』 ギュスターヴ・ル・ボン

          群衆の時代 国家の運命が決定されるのは、もはや帝王の意見によるものではなくて、群衆の意向によるものだ。  群衆は、推理の能力こそほとんど持たないが、これに反し、行為には甚だ適している。  幾多の文明はこれまで少数の知識人によって創造されてきた。それは決して群衆により作られたものではない。群衆が持つのはただ一つ、破壊力だけである。群衆が支配の層につくとき、必ずや混乱がもたらされる。 群衆の特徴 群衆とは任意の個人の集合を指す。それは構成員の種類を問わず、集合の機会の何如をも問

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          要約 『群衆心理』 ギュスターヴ・ル・ボン

          note という私の武器庫

          --- 言葉は武器である、という言葉を聞いたことがある。 言葉はあらゆる感情に、現実に輪郭を与える媒介であるから、それを携えることで初めて、社会を生き抜くことができる、とか、そんな意味に違いない。どんな意味を孕ませられた言葉であったか、そこまで覚えていないのだ。 けれども、僕はこの言葉が嫌いであった。 だって、僕自身を眺めてみても、饒舌の剣は無く、詭弁の盾も無く、語彙の靴も、見当たらないのだから。 だってそうだろう? 自分が持っていないものを必需品だ、必携品だと言われ

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          note という私の武器庫