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歴史小説「Two of Us」第4章J‐22
割引あり
~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 On A ”SABO Tea Room” About Some Last Scenes
J‐22
朝日がこぼれ差し込む、熊本城内の庭。新緑の静かな清々しさが聴こえて来そうな、三畳程の建付けの茶室。
寛永五年五月(1628年6月)、和紙の障子格子を通して、忠興(細川三斎宗立)はおもむろに、竹林の軽やかに揺れる丸窓の影を眺めた。幻の名品『平雲』にとてもよく似た特注の鉄茶釜から、時折小さな蒸気の音。
いつもはガラシャ珠子と過ごすこの空間に、この日は別の茶人を迎えていたのだ。
寛永九年より、ガラシャ珠子は杵築城主から異動になる。飛び地別府の杵築藩は、元城代松井康之の次男興長が領主となる。異動先は現在の花畑屋敷跡、つまり熊本城下の忠興の住処である。
三男忠利が家督を継ぐと、忠興は隠居領としての八代城へ、四男立孝(たつたか)を連れて親子三人水入らずの余生を送った。もう勝ち続ける武人の影はなく、茶道開祖と焼き物と文芸に勤しむ趣の人となったのだ。
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