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歴史小説「Two of Us」第4章J‐7
~細川忠興&ガラシャ珠子夫人の生涯~
第4章 Foward to 〈HINOKUNI〉 Country
J‐7
〈沓掛〉の辻は、あなた珠子の父明智惟任十兵衛光秀(あけちこれとうじゅうべえみつひで)が、壱萬五千の兵を率いて『敵は本能寺に在り❕』と告げ、士気を高めた場所。
そう後世には伝えられている。
亀山城を出立して〈老いの坂峠〉を降り立ち、右を向けば長岡勝竜寺城の洛西の先に、安芸や吉備の中国地方。まっすぐに降りて行けば、桂川を渡って五条通から本能寺(旧本能寺所在地)を目指す、場所。天下分かれ道のひとつである。
けれども、明智珠子と細川忠興にとっては、ふたりで歩く道程の、始まりの場所となっている。
その日と同じ場所に、同じように峠茶屋が在る。珠子とイトとオクは、お煎茶で一休みしながら、竹林を眺める。
朝食代わりの御茶菓子は、珠子の大好きな胡桃柚餅子をお願いした。
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「オク。私の名前『ガラシャ』の意味をご存知ですか❓」
「はい。日本語では〈慈愛〉と〈神の恵み〉という意味だとか。マリア、イト様から伺いました」
頷いてお煎茶を両手で口に含み、落ち着いてから、珠子は続ける。
「そのように、在りたいですね。GRACIASは神に感謝を告げる言葉ですが、日本語の〈有難き幸せ〉と同じです。
ジーザス・クライスト様は、神は唯一無二だと。しかしながら、日本古来からの神様信仰は、万物に神が宿っているのだと。『八百万の神々』(やおよろずのかみがみ)ですね❓」
「わたくしは、七福神しか聞いたことがござりませぬ。
けれども母は、唯一女神の弁天様をみんなが愛していたのに、戦いの神の毘沙門天様がモノにしてしまって、美男美女なのに守るために戦の絶えない世の中にしてしまったのだ。。。と、嘆いておりました」
「それは中々に有力な説ですねぇ。誰も不平不満を言わずに、折り合いをつければよいのです。妥協しなくても他の神様は、金銀財宝や豊穣の土地の神様なのですから。
戦いの神様には、安らぎの愛情が必要です」
「マリア(清原イト)は時に、面白き持論を展開しますねぇ」
「さようですか❔男と女の真実は一つです。権力や財力を持って手に入れたかに見えても、女心が充たされるとは限りませぬ」
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