歴史小説「Two of Us」第3章J‐3
割引あり
~細川忠興父子&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第3章 本能寺の変以後~関ヶ原合戦の果て
(改訂版は日本語文のみ)
The Fatal Share for "Las abandonadas"
J‐3
雲ひとつない快晴。
細川家の配下となった池田六兵衛を先頭に、あなた珠子の一行7名は、由良川一級河川堤の街道を歩いていた。
丹後の宮津から丹波路へと入領したあなた方一行の男性は、出自も武家。だが町衆の旅姿のようだ。不惑前後のルート・セールス三人衆か。。。帯刀は目立つ為、お付きの若衆の梱りに収めた。
残りはさながら、小杖を支えにするばあやと老いた番頭、荷を運ぶ奉公人、そして、その大店の跡継ぎ娘である。
〈矢がすり〉の着物の帯の狭間から、あなたは差し込んだ〈丹後ちりめん〉の手拭を取り出し、額の汗を拭った。
あなた珠子とばあやのすぐ後ろに控える一色宗右衛門が、声をかける。
「そろそろ、一服はいかがでござりますか❔
二軒茶屋が、まもなく御座います」
思わず怪訝に振り向いた、通りすがりの旅の町衆。あなたは、出来る限りくだけた言葉を使い、答える。
「さようですね。わたしは構いませんが、清原のばあやがしんどいようです。ひと休み致しましょう」
「申し訳ございませぬ。。。」
「お気になされぬことです。町衆の出で立ちゆえ、速籠や馬を手配することも出来ませなんだ。休みましょう」
一色も多少息を切らしながら、応えた。
「そうやわ。お喋りの口調も町衆の方言に慣れませんとねぇ!?」
あなたは、コロコロと鈴をころがすような声で、軽快な笑顔。
一行7名は、茶屋で黒豆の大福を分け合いながら、店先の縁側に腰をかけ、まだ薄く朝霧がたなびく遠景の城下町を眺める。
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