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今度生まれたら(読書感想文)
弟からの薦めで読んだ本。今日から数日かけて読むか...と手に取ったけれど、止まらなくて数時間で一気に読了。
さすが脚本家さん。目の前で人が話しているのを観ている様な言葉のやりとりと心の声が面白くて、目が離せなくなった。
私は時代の境目にいることを感じている。この主人公みたいに女性の多くが「男性に幸せにしてもらうこと」を望んだ時代のことも知っている。それを知った上で、今の全く違う価値感が自分にしっくりくると思っている。
しかしながら、真ん中にいると何が正しくて間違いかなんてないとつくづく思う。両方の世代を見ながら思うのは、ただ自分の人生に自分が満足しているかどうか。それを言葉でどう表しても、心を閉ざさざるを得ない人、自分の感覚を消さないと幸せになれないと信じてきた人たちには届かないことも。
これは何も結婚だけに言えることではなく、自分を消すこと、自分を後回しにすることで安心感を得てきた人が、ある時ふと思う「自分ってなんだったんだろう」の疑問は本当に怖い。
人のそれをたくさん見てきた。ある人はそこから自分で舵を切り満足な自分の人生を手に入れ、ある人は絶望して不満や妬みに自分の時間の大半を費やす。
一歩踏み出すことの勇気と自分を見つめること。今だからわかることもいっぱいあって、しみじみとする本だった。
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<心に残った言葉(順不同)>
●何があるかわからない先々のために、今を犠牲にするほどバカなことはない。
●芸術文化、文学はなきゃないでいい仕事だものな。そこで生きる以上、覚悟は決めている。
●あのギタリストが自分の子供なのだ。信じられないというより、別人格を突きつけられた。
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