BTSに見るメンタルヘルスの大切さ
I like BTS.
I like...の例文で私が自分の英語教室のどのクラスでもしつこい程 "I like BTS." と言うもので、BTSを知らなかった人も最近になって「私もBTS好きになりました」と報告してくださる様になった。
「小学校で流行ってます〜」「親子でハマってしまいました!」「あの曲良いですよね」。保護者面談でもおうちの方から「実は私もハマってしまって」なんて。生涯学習センターでも老若男女問わず。
皆さんがなぜか BTS=私 を思い浮かべてくださる様で。私がこの例文で伝えたかったのは自分の好きなものを連呼していると、人の印象に残りやすいということ。だから私はそれを体現するために今日もI like BTS.と言い続ける。
そんな私が彼らを好きになって、実に3年以上が経過する。(2021年秋時点)私が彼らを好きなのは、実はこの部分。彼らのメンタルヘルスとそれを支える環境。
若い頃から人に見られ常に評価される仕事をし続け、自分を熱烈に応援してくれる人と酷い誹謗中傷をする人両方の存在を感じながら生きている彼ら。普通に生きているだけでは、到底心が持たないはずだ。
彼らを通して「メンタルヘルス」の大切さがわかる。彼らの人気はその彼らの生き様そのものが、歌詞や彼らの行動を通して弱音を吐けない子たちや苦悩する若い世代の子たちに沁み渡っていったことにも大きな要因があると思う。
私自身、我が子くらいの彼らの言葉や姿勢、態度に救われることがある。
この記事にある『新人時代からケアを行い、カウンセリングに慣れていれば、スターになってからも心理的な問題を打ち明けやすくなるが、一方でスターになってからケアを始めると、拒否感を抱く場合もあるという。 』
という言葉が彼らのメンタルヘルスを支える環境そのものだろう。
負の連鎖
これを読んで真っ先に、今大人になって心を病んでいる方のことが思い浮かんだ。彼らは心にたくさん刺さった矢を抜くための治療を拒む。「自分一人でも出来ます」とその矢に手をかけ、痛みを堪え必死で抜こうとする。そしてさらに傷を深くする。
もし心に小さな棘が刺さった時に抜く方法を知っていたら...彼らはこんなに大きな矢や致命傷になる様な槍が刺さってもそのままにしておくだろうか。痛みを堪えることが立派な人間のすることだと言い聞かされて育ってた結果、この大きな心の傷を抱えながらそれに気付かぬ振りをして生きることを選んでいる大人のいかに多いことか。
私が問題視しているのは、その大人たち。そしてそれに留まらずその大人が教育現場や家庭、会社で関わっていく子どもたちへの影響だ。
何もメンタルヘルスはスーパースターだけのものではない。今や小さな子どもの内から人に評価され、競争させられ、周りを気にしながら生きることを余儀なくされている人ばかりだ。幼い内から人に心の内を明かして助けを求めること、自分自身を大切にすることを当然の考え方として身に付けておかないと。心に刺さった小さな棘の痛みを抱えながら生きることに慣れてしまったら、心が麻痺してしまう。そしてやがて大きな矢や槍が刺さっても見て見ぬ振り。そんな大人たちがまた子どもたちに「歯を食いしばれ」「みんなだって辛いんだ」「こんなこと我慢出来ずにどうする」と言ってしまう。
傷ついてからでは遅い
小学校では、職員室で席が近い心理カウンセラーの先生と雑談することが多いが、子どもの内からのカウンセリングの大切さをいつも言っておられる。自分を大切にする環境がなかった親世代が自分を追い込み心を病んで、子どもたちがそれを継承する。
これを今すぐにでも止めなければ、負の連鎖が続いていく。大人は「大丈夫」な振りが上手になっていて自分さえ欺いてしまう。表向き笑っているのでわかりにくいが、この社会には無理が渦巻いている。
そして怖いのは、自分自身がその無理に気付かないこと。
Love yourself. 自分を愛するために、一度立ち止まって。