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反人生(読書感想文)

 ナオコーラさんの小説にはナオコーラさんの違和感や疑問が散りばめられていて、それが当たり前の世界になっているので、自分もフワフワとその中を漂いながらかつて自分にあった違和感を取り戻す気持ちよさがある。

 世間の「当たり前」に埋もれそうになっては、そこからプハッと顔を上げてまた溺れる。それを繰り返してここまできたけれど、私が納得できていないことや敢えて有耶無耶にして納得しているふりをしていることはたくさんある。

 そこを触られるのが最初は怖かったけれど、数冊読むうちに心地よく感じてきたのだ。ここで一旦自分の違和感に立ち戻ってもいいよね、と子どもに戻れるような気がする。男女の友情は成立するのか、は長い間私のテーマではあるが、それを人と語る楽しみは別として、それは各々の人間関係の中で考えるべきテーマなのかも知れないな、と思う。

 各々の判断や価値観でじっくり人生をかけて熟成すれば良いものを、バッサバッサと白と黒に分ける教育や世間のことを考える。今私はそのいずれからも降りているので、自由に自分の考えを熟成させていきたい。こんな本を読みながら。

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<心に残った言葉(順不同)>

●今私が自分のうちに感じている、暗さへと向かって真っ直ぐ伸びていくこの矢印は一体なんなのだろう。

●暗さを肯定するために文学をやっている(中村文則)

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