「趣味:料理」への道
ゲームが好きだ。でも「趣味はゲームです。」というほど好きとは言えない。ゲームにどれだけ時間をかけても、外側の現実世界の自分に何も還元されない虚しさがある。
サッカーやってたら脚力がついたとか、ピアノ習ってたから楽譜読めるとか、そういう還元される能力みたいなのがない。
データの中だけで、しかも(通信対戦などを除けば)プレイした思い出は自分の中で完結しまっている。同じシナリオでプレイした人と共有できる話題もあるが、個人的なプレイの思い出はそうはいかない。ここで何度も死んだとか、チュートリアル一個し忘れて重要なスキル解放しそびれたまま半分くらいまで進めちゃったとか。
出会いと別れの季節、春が来ると「趣味は何?」みたいな話題がよく出る。そこで、音楽・映画・読書・ゲームを広く浅く、どれにもそれほど深くのめり込まずやってきた自分は悩むのだ。何かこう趣味が欲しいなって。
美味しいものを食べるのが好き。でも店で食べると高い。一人で入りにくい店もある。塩分、脂質が多いものを連日はつらい。
なら、自炊だ。
そうだ、料理をしよう!ということになった。
趣味料理への道 その1
ゲームでも武器の生成、強化に素材がいる。
料理も材料がなくては始まらない。
安くいっぱい食べたいと思ったら、閉店前のスーパーだ。
閉店前に買って調理だと時間的にきついので、そうなると見切り品・おつとめ品だ。多少傷んでようが、古かろうが自分が食べる分には構わない。
それから初心者向けの野菜であり、料理のレギュラーメンバーである。
じゃがいも、にんじん、たまねぎをかごに入れる。
(じゃがいもはホクホクする品種が好き。最近たまねぎ高いよね)
肉はその日に安いものを。
鶏>豚>牛の順に安いが、安さだけだと鶏ばっかりになるので、普段の値段と比べて安ければ買う。
鶏むねが安いけど、鶏モモの方がおいしい気がする。
豚は切り落としやこま切れが財布にやさしい。
関西人なのでカレーはやっぱり牛がいい。できればゴロゴロしててほしい。
ミンチは安いイメージだが、100g単位でみるとそこまで安くないことも多い。むしろ高い。鶏モモミンチなんか塊肉の方が安い。
料理に慣れるまでは、カレー、シチュー、ポトフなどの市販のルーやコンソメでできる料理中心だった。
水に浸ってるタイプの豆腐が賞味期限が短いからか、よく割引されてるので、味噌汁を作ることも増えた。ふえるワカメは常温で長く保存できる初心者の味方。たまに手が滑ってめっちゃワカメ入る。増えるとすごい。味噌はひかり味噌の「円熟」派。
①限界中年汁
料理初期のヘビロテレシピが限界中年汁だった。
コンソメの包容力が半端じゃない。なんでも行ける。
プチトマト火が通ると別の良さが出る。
ソーセージは何ぼあってもいいですからね。厚切りベーコンが安くなってたら入れた方が良い。入れる前に一切れつまみ食いするのも良い。
冬はカブとかも良い。
キャベツたまねぎ人参セロリあたりは、香味野菜と言われるだけあって、ええにおいする。
②30分チキン
鶏むね肉を焼くなら30分チキン
鶏むね肉を小さめのフライパンにのせ弱火で放置するだけ。
最後に一回ひっくり返せば完成。
皮がぱりぱりで肉汁はたっぷり。
③魚焼きグリルで焼き鳥
魚も広告の品、タイムサービスで安ければ、焼くだけでいいからたまに買ってた。
ホッケの開きが食べ応えがあって好きだ。
二番手は太刀魚、海外産がでかくて安い。国産はピカピカできれい、まさに刀。
サンマももっと安ければなぁ、くちばしが黄色いのがおいしい。
魚がどれも高いというときは、鶏モモが安かったら、鶏モモを買うべし。
白ネギが束になって安かったら、ネギも買うべし。
魚焼きグリルの火力で肉を焼くとうまい。
ちなみに竹串を買い足すのも、捨てるのも面倒で、金属製の串を買った。
それくらいよく作ったな。市販の焼き鳥のたれ、おいしいよね。
シンプルに塩でもうまい。
クレイジーソルトとか、スパイスミックスなどを振ってもおいしい。
趣味料理への道 その2
ワンランク上の装備を手に入れると、新しい世界が開ける。
ゲームも料理も一緒だ。
その装備こそ、圧力鍋である。
これがあれば、硬い肉をやわらかくできる。
煮込みにかかる長い時間をスキップできる。
(それでも肉だと20分~30分かかる)
牛すじは安いし、パックにいっぱい入ってる。
④牛すじカレー
まず牛すじの下処理をする。
はじめてのとき「牛すじ 圧力鍋」で検索したら出てきたページをいつも参考にしている。
ネギの青い部分はないことも多いが、にんにくは安いとこ(直売所など)で買って、バラシて皮を剝いたのを冷凍しているので、それを入れる。鷹の爪もないので、一味を振りかけてる。(意味ないかもしれんけど、一応とうがらし要素。)
30分加圧しても、すじ肉はぶりんぶりんしてて柔らかくなったか不安になる。そのときトロトロのヘニャヘニャになってるニンニクを見ると安心する。
あとはジャガイモ、ニンジン、玉ねぎを適当に切って、カレールーの箱の裏のレシピ通りに作る。特に水の量はミスるとしゃばしゃばになる。ちなみに、ゴールデンカレー派。
カレーとして煮込むときもルーを入れる前に5・6分圧力をかける。野菜はすぐに柔らかくなるから、圧力のかけがいがある。じゃがいもや玉ねぎは大きめに切っとかないと、圧力に負けてほぼ姿を消してしまう。
具材と水分のバランスをミスると圧力がいつまでもかからなくて、あとで大量に水を入れたこともある。(いつまでもシューシューなってて、ピンがあがらなかった。)
⑤豚の角煮とレシピサイトの話
男は暇になるとなぜか角煮を作るという傾向にある。(自分調べ)
豚バラの塊肉は肉コーナーの中で売れ残ってる率が高い(気がする)。
そんなときには、「お、これは角煮の回だな。」となる。
「角煮 レシピ」で検索するとめちゃくちゃ出てくる。
クックパッドやら、オレンジページやら、クラシルやら…。
書籍系で有名なもの、レシピサイトとして知られてるとこ、最近では調味料メーカーもレシピを出している。動画系のサイトもある。
いろんなサイトを渡り歩いた結果、自分は「みんなのきょうの料理」に落ち着いた。いろんな料理研究家やシェフが参加しており、調理時間や工程がわかりやすい。切り方や厚さ1cmくらいとか書いてくれてる。食材の重さも書いてくれてることが多いので、入れすぎて味が薄くなったとか、逆に濃すぎたとかのミスが減った。(安いキッチンスケールを買いました。)
油断すると、八角とか紹興酒とか「そんなのないよ」な材料を要求してくるので、ないものは省くか、あるもので作れるレシピを探す。
たまに、「味が濃いので醤油減らした方がいいよ」「煮汁少な目で作った方が煮詰めるの楽だよ」とか、先人の「つくったコメント」が見られるのも助かる。勝手にアレンジしてる人もいて、勇気づけられるし参考になる。
実は角煮もこのサイトだけでも何種類もあるのだが、このレシピが人気で材料もそろえやすい。作り方は、リンクから飛んでもらえば、書いてあるので割愛。
そして煮込みのところを勝手に圧力鍋に変える。
15分から20分くらいだろうか。
ただ最近、圧力をかけずにただ時間をかけて煮込む方が、やわらかくなるんじゃないかって気がしている。
あと、ゆで卵を入れると煮卵になっておいしい。
趣味料理への道 その3
もう少し手の込んだものを作りたい、という欲が湧いてくる。 スケボーに乗り始めた人が平坦な道をただ滑るより、技をやりたくなるような感じだろうか。ジャンプして板を回転させたり、ターンとかしたいです。
最初は作るものを決めて、必要な食材をスーパーに買いに行っていた。
でも必要な食材が高いときがある。普段なら100円前後なのに、今日は同じものが200円くらいしてるみたいな。自然や天候もあれば、旬や入荷量のこともあるだろうし、店も商売だから仕方ない。
でも安く、いっぱい食べたい。
となると、レシピありきではなく、とにかく安いものだけを買って、そこから作れるものを作ろうということになる。(世の節約上手の皆さんはそんな感じなの?)
よくシンガーソングライターが曲作りのときに、歌詞から先に作るかメロディが先かで、詞先?曲先?みたいな話をしている。
今回の場合はレシピ先か、材料先かという話になる。自分はレシピ先から、材料先に変えたというわけだ。
今日は白菜と豚こまが安かったから、それで作れるものは?と調べていく。
⑥白菜と豚バラ肉の煮物
シンプルで作りやすいのはこのレシピだ。
本当は豚バラだけど、今回は豚こまで許してもらおう。
乾燥昆布をコストコで大量に買ったので、昆布にはしばらく困らない。
煮汁に入れたときに豚肉をていねいにほぐすとか、
出汁をとった昆布を刻んで具材にするところとかに職人の技を感じる。出汁をとったあとの昆布を捨てるのって、ちょっと罪悪感があるので、よりこのレシピが好き。
少し話はそれるが、野菜の皮や種は捨てられるけど、水分を吸ってかなり大きくなった昆布を捨てると「ああ、もったいないことしてる気がする」という感覚になる。もずくとか、ワカメ捨ててる感じ。「絶対食べれるのになぁ」って思うからかもしれない。同じ理由でかつおだしも、出し殻を捨てるのがいやで、ほんだしの粉末を使っている。
緑茶や紅茶の茶葉とか、ドリップコーヒーの殻とかは平気で捨てられるから、慣れの問題なのか。貧乏性なのか。SDGs的な感覚なのか。
ちなみにこのレシピは村田 吉弘先生のもので、ミシュランガイド3つ星和食料亭「菊乃井」三代目主人だ。MBSのグルメ番組「魔法のレストラン」にもよく出てくるし、和食が世界遺産になったときにも活躍したことをドキュメンタリーで見た。すごい人だ。
「れんこんもちのあげ出し」のレシピもめちゃくちゃおいしかった。
⑦白菜と豚肉のチーズ鍋
「みんなのきょうの料理」では、食材ごとにレシピを検索できるんだけど、その中でマイレシピ登録数が一番多いのはこのレシピ。
つまり人気ナンバー1。
料理をある程度していて、出くわす問題が「味付け似てくる問題」。
大体、しょうゆ、さとう、みりん味になっちゃう。それか味噌。
洋風だとオリーブオイルとニンニク。
もちろんおいしい、確かにおいしいのだけど、やっぱ飽きてくる。
作ってても食べてても飽きてくる。またこの味付けかって。
そんなときこそカマンベールチーズなのだ。
そんなものは冷蔵庫にない。あってもプロセスチーズかピザ用チーズだ。
だから自分はこのレシピのためにわざわざカマンベールチーズを買う。
正直豚肉と同じくらいの値段している。賞味期限が近づいて安くなってたらラッキーだ。
コンソメのスープと白菜のあまいシャクシャクした感じに、このチーズと黒コショウがめっちゃ合う。ベーコンも良い味出してる。
ポトフと白菜の煮物の間に生まれた子が、カマンベールチーズと結婚しちゃった感じ(わからん)。
〆はパスタを半分に折って入れている。すごくおいしい。
書いているうちに結構長くなってきたので、今回はこれくらいで。
栗原はるみ、土井善晴、タサン志麻らの手間を惜しまぬ強敵レシピの洗礼を受けたのはまた別のお話。
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