Webライター2年目にしてようやく、『沈黙のWebライティング』を読んでみた
Webライターを志してすぐの頃から、「ライターを目指すならこの本は読んでおいた方がいい」とあちこちでアドバイスをもらっていた。
な!の!に!
怠惰な私はKindleでダウンロードをしたきり満足してしまい、「いつか困ったときはこの本が助けてくれる」といい気になっていつまで経っても読んでこなかった……(最低……)
とあるきっかけで再び本書を手に取ったが、とにかくなんでもっと早く読まなかった私……の一言に尽きる。
漫画ベースで読みやすい+Webライティングの基本であり最重要ポイントが網羅的に示されており、この本に書いてある知識を必要としないライターはいないのでは?と思うほど。
このnoteでは、個人的に私が学びを得たポイントを挙げて私なりに咀嚼してまとめ、最後にこの本を読むに至ったきっかけについてお話ししたいと思う。
『沈黙のライティング』からの学び
SEOはテクニックではない、どこまでも読者に寄り添うこと
ここ最近は離れてしまったSEOの観点。
Googleの性質を理解し、独自性や信憑性の高いコンテンツでキーワードを盛り込まなきゃ……
キャリアスクールでも独学でも学んできたことなのに、あまりに基本的で大切なことを忘れていた。
なぜSEOを意識して記事を執筆する必要があるのか?
なぜ独自性や信憑性が必要とされるのか?
それはひとえに、読者が必要としている情報を届けるためだ。
Google検索で上位表示される記事を順番に分析していくと、読者がなぜその記事を必要としていたのか、さらにはどんな目的でそのキーワードをWeb検索したのか、背景が見えてくる。
結局のところ、SEOであれインタビューであれ、どんな記事でも読者に寄り添うことができているものこそ愛されるんだ。
PV数、クリック数、発注数を増やすためには?と考え続けると、どうしても何かテクニカルなものを身につけなければならないのではないかと早合点しがち。
それ以前に、このあまりに当たり前なのにうっかり見落としてしまいがちな、大切なマインドセットを心に刻む。
弱みを強みにして、比較せずに「あなたがいい」と思ってもらう
先ほどから挙げている「独自性」についても、ハッと気付かされることばかりだった。
noteでエッセイ(と読んでいいかも曖昧だが)を書き連ねてきたが、それなりに「独自性」が出ているものと思っていた。
1歳の息子を育てる女性の心のうちを、偽ることなく自分の言葉で綴る。
実際に記事の閲覧数はなかなかの数字に積み上がっているし、フォロワー数も少しずつ増えてきている。
でも、ふと周囲を見渡してみると、自分の得意と思っていたフィールドはものすごくレッドオーシャンだったことに気づかされた。
子育て世代の主な年齢層は自分と同じアラサー。
エモーショナルな表現を意識してはいるが、イラストエッセイを描く人や保育の知識を持っている人、特異なバックグラウンドを持つ人にはおそらく敵わない。
自分の強みはどうやって見つけるか?
本書を読み進めると、「弱みを強みにする」というヒントに出会う。
弱みを逆手にとってサービスのコンセプトに変え、さらには主力プランとして打ち出す事例が紹介されていたのだ。
他にも「比較の軸を明確にする」「客観性のある情報を届ける」など、情報コンテンツとして留意しなければならないポイントが多数詰め込まれていた。
弱みだと思っていた何かが、私をより一層輝かせるかもしれない。
そう思うと急に活路が見えてきたような気がした。
共感の本性
「すごく共感しました」
いい文章に出会ったとき、よくこの言葉を口にしてしまう。
便利だから、相手にも自分が感動していることをわかりやすく伝えられる言葉だからと安易に口にしていた気がするけれど、「共感」が生まれる仕組みはなんなのか?
本当に恥ずかしいことだけれど、SEOは情報の厚さや利便性、先述した独自性や信憑性が担保されていれば成功する分野だと思っていたが、大きな間違いだった。
むしろSEOこそ、人の心の動きから行動変容を促す究極の共感コンテンツだったのかもしれない。
本書のなかで特にハッとしたことを一つ紹介すると、「自分事化」だ。
この言葉も聞き馴染みがあったが、その意味を分析すると、「誰が抱いたものなのか、その人を想像させやすくしたうえで、感情表現を取り入れる」こと。
誰がその感情を発しているかが明確になると、人はよりその感情に触れやすくなり、自分事として受け入れやすくなるそうだ。
これまで私の書いてきた文章も、本当にありがたいことに「共感しました」とコメントいただくことがあったが、自分の文章がなぜそのような印象を与えられたのか深くは理解できていなかった。
でもこの「自分事化」の仕組みを理解したことによって、共感を生む文章の再現性を高めることができそうだと思った。
取材は事前準備と取材中の空気作りが命
今年3月から本格的にインタビューライターとして活動している。
もともとコミュニケーション能力は高い方だと自負はあったし、初対面の相手とも基本的には壁を感じずに会話をすることもできるので、実際取り組むまでは「自分なら活躍できるかもしれない」と心のどこかで思っていた。
でも実際お仕事をしてみると、その奥深さに頭を抱えてしまうことも多かった。
仕事を始めたばかりの私がこの本を読んでいたら、もう少しだけスタートダッシュは軽やかだったかもしれない。
取材は、ただ会話が上手なだけではうまくいかない。
その対話の向こうに、読者に届けたい記事がある意識を忘れてはいけないし、さらに執筆のための情報は感情を持つ人から引き出す必要がある。
だから何よりも、事前にどんな記事の方向性にしたいのか考えてリサーチや質問準備など用意を整え、取材当日は対象者に心を開いてもらい、快く話をしてもらうことが大切なのだ。
仕事を始めたばかりの頃、私は事前準備に強い苦手意識を抱いていたが、取材経験を重ねるにつれて少しずつ要領を掴めてきたような気がする。
その取材を通してどのようなコンテンツを制作したいのか、記事の最終ゴールはなんなのか……
着地点から逆算することで必要な質問を組み立てることができるし、対象者の回答が想定外のものだったとしても軸をぶらさずに質の高い取材を行うことができるのではないか、と改めて気づくに至った。
バズ記事は意図的に作れる……?!
いつかはバズる記事を書いてみたい。
密かに抱いてきた夢だが、まだ実感として「バズ」というものを経験したことはない。
結局のところ、書いてる人の知名度とか偶然著名人の目に留まって拡散されるとか、そんな限られた条件下でしか実現し得なくて、自分になんて到底起こし得ないのでは?と心のどこかで諦めかけていた。
でも本書曰く……バズる記事にはちゃんと理由があるようなのだ……!!
その中でも印象的だったのが、「メタ的な視点誘導」。
これは既出の「自分事化」にも通じるキーワードになるようで、つまりその記事の中では結論を述べず、読者に最終的な考察や判断を委ねるというもの。
一種の余韻を残すことで、「自分の意見を書かずにはいられない!」と思わせ、拡散を誘う技法。
わかりやすいテクニックでいうと「あなたはどう思いますか?」などの問いかけで終わる型がそれに当たりそうだなと思ったけれど、私が今までTwitterでシェアしてきたnoteのすべてがそれに当たるわけではなかったはず。
「この記事シェアしよう!」と自分が思ってきた記事にはどんな特徴があったか?
過去のツイートを追って自分の心理分析をしてみても面白そうだし、唯一無二のバズ攻略法を知ることができそうだなと思った。
(あ、Twitterじゃなくて、Xか……)
ライター人生の教科書と向き合うきっかけをくれたのは……
なんだか腰が重くてどうしても読み進められていなかったのに、いざ読破してみるとものすごく学びが多く、ことあるごとに読み直してインプットし続けたい・し直したい教科書だった。
紹介されていたスキルやノウハウを使いこなしてさらさらと記事を書けるようになるには、意識的に訓練を積んでいく必要がありそう。
今回この『沈黙のライティング』を読むきっかけになったのは、8月から所属しているライティングスクール『Marble』。
来る8月12日に第2期のキックオフを控えていて、これから各種興味深いテーマで学びや実践を積めると思うと、今からワクワクが止まらないっ!
このnoteも、参考書籍の感想を発信してみよう!という『Marble』の事前学習としてしたためたもの。
こういうきっかけがないともしかしたらいつまでも積み読のままだったかもしれない……
これから『Marble』で過ごす3ヶ月間で、一皮も二皮も剥けたライターになれるように、貪欲に学んでいきたい。
よっしゃ、頑張るぞ!!