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習慣化:モチベーションだけでなく仕組みも

良い習慣を身につけるのは大変です。悪い習慣は簡単に身に付くのですが。

私の場合は「良い習慣=ランニング(身に付くまで苦労した)」「悪い習慣=ストレス食い(もう十年以上の付き合い)」です。

習慣化したいことややめたいことは他にもあり、習慣化についての本(後述)を最近読んでます。

その本から解釈したことと私の過去の経験を踏まえ「ランニングの習慣化に当てはめたらどうなるか」を書きます。


アムステルダムで電気料金を住居区画ごとに調べた。
他と比べ極端に電気代が節約できている地域が1つだけあった。
何が違ったのか?
通常は電気メーターが住居の地下に設置されていたが、節電できている区画の住居は、電気メーターが地上の見える場所に設置されていた。
見える場所に電気メータがある住居の人々は、日々それをみるたびに、電気を節約するように意識して生活をしていた。

ここでのポイントは「良いきっかけを生活環境の中に散りばめる」ということだそうです。

モチベーションだけに頼らない

これは具体的にはどういうことでしょうか?ここからは私の解釈も含みますので、お手柔らかにお読みください。

人間のモチベーションには波があり、外部に影響されやすいと思います。
”8月の請求書見て「電気代節約せねば」と思うけど、その次の週には忘れてて、9月の請求書を見てまた同じこと思う。”(これは私の実例です)

ランニングなら

・「脂肪燃焼ラン」の雑誌特集を読んで意気込んで走り始めた。2週間は続いたがその後は走ってない。
・今日は暑い/寒いから走らない(走らない正当な理由だと思う)
・レースがないから走らない(具体的な目標とモチベーションが大事だから)

と言う感じです。

モチベーションは行動の大きな原動力ではあるものの、それをコンスタントに長期に維持することは大変です。

そしてモチベーションだけに責任を負わせるのは酷でもあります。

もし続かない場合、自責として感じてしまうこともあり、心の負担を感じてしまうかもしれません。これは私のランニング習慣化時代にも実感しました。1週間サボると「やっぱり自分は意志が弱いからダメだ」とか思っていました。

モチベーションだけに頼らないことが大事です。

習慣のきっかけを環境に散りばめる

人間が何かをするとき「きっかけ」と「行動そのもの」の2つで構成されているそうです。

ランニングなら
「きっかけ=走りだす直前までの準備」
「行動そのもの=走る行為そのもの」

「行動そのもの」の方が大事だと思われていますが、実際は「きっかけ」の方が重要だそうです。

なぜでしょうか?

ランニングで一番気が重いのはいつですか?
「走りだすまで」ではないでしょうか?

「走ろうかな、走らなきゃ」と思ってから「実際に最初の一歩を走りだすまで」は色々うだうだ考えてませんか?(例:暑そうだな、着替えるの面倒だ、10kmも今日走れなそうだな、なんかだるいな、など。これも私の実例です)

村上春樹さんは「走らない理由はトラック一杯分ある」と書かれてます。

決心して実際に一歩走りだすと、意外とスムースに流れて終わり「走れて良かった」となりませんか。

つまり「行動そのもの」は実は精神的な大きなハードルではなく、「きっかけ」がハードルなのだと思います。

この「きっかけ」の部分をいかに自分の生活環境の中に入れておくか、が大事だということです。

それをすることで、
・行動を意識しやすくなる(思い出させてくれる)
・行動をやりやすくなる(始めるまでの負荷が少なくなる)
という利点があります。

たとえば
・ランニングシューズを常に玄関に出しておく
・ランニングウェアセット(シャツ・パンツ等)を一揃えにしてまとめておく
というシンプルなことでも、きっかけのサポートをしてくれます。

私の場合は上記に加えて
・ウェアセットを1つのバッグ(袋)に入れておき、朝起きたら機械的にそれに着替える。
・ウェアセットを見える場所に置いておく(例:廊下・リビング)
・明日の朝ランに向けウェアを着て眠る(寝心地はイマイチですが朝イチで否応無しに走り出せます)
ということもしてました。

詳しくは過去記事でも紹介しています

悪い習慣のきっかけをなくす

この考え方は悪い習慣の改善にも応用できます。
逆にすれば良いので「悪い習慣のきっかけを身の回りからなくす・見えなくする」

私の悪習慣の「ストレス食い」で書いてみます。
最近家にいる時間が長いので色々食べてしまいます、よくないなぁとは思うのですが。

ストレス食いについても「きっかけ」と「行動そのもの」に分けられます。
「きっかけ=食べたくなる衝動・食べ物を探す行為」
「行動そのもの=食べること」

この「きっかけ」の部分を身の回りから排除する/見えにくくする/アクセスしにくくする。

・キッチンやリビングでは、スナックなどを物理的に見えなくする(箱に入れる、隠す、など)
・キッチン周辺など食べ物がある場所で長時間過ごさない
・リビング周辺に食べ物をそもそも置かない
・買い置きしてある食品は、クロゼットなど奥の方にしまっておき、すぐにアクセスできないようにする

この中で「見えなくする」は、やってみて効果があったのでお勧めです。この中では比較的簡単にできますし。

とはいえまだ完全に改善できてないのですが、前よりはよくなってきています。

まとめ

話を戻して、ランニングについても「きっかけ」を身の回りに散りばると良いと思います。

まずは、ランシューズをしまわずに出しておく、ウェアを揃えておく、というところでも違うと思います。

少しの準備できっかけが作られ、それらがあなたの背中を押してくれます。

・モチベーションだけに頼らず、きっかけ(仕組み)を日常生活に散りばめる
・よい習慣のきっかけを目立たせる、悪い習慣のきっかけは見えなくする

村上春樹さんと瀬古利彦さんの話

村上春樹さんが瀬古利彦さんに「走りだす前の気持ち」を聞いた時の話です。

「瀬古さんくらいのレベルのランナーでも、今日はなんか走りたくないな、いやだなあ、家でこのまま寝てたいなあ、と思うようなことってあるんですか?」と質問してみた。瀬古さんは文字通り目をむいた。そして〈なんちゅう馬鹿な質問をするんだ〉という声で「当たり前じゃないですか。そんなのしょっちゅうですよ!」(中略)朝早く起きてランニング・シューズの紐を結ぶときに、彼が僕と同じような思いをしたことがあるのかどうかを。そして瀬古さんのそのときの答えは、僕を心底ほっとさせてくれた。ああ、やっぱりみんな同じなんだ、と。

詳しくは過去記事に

どんなランナーでも「走りだす前」の気持ちは重いものです。

モチベーションだけに頼るのではなく「きっかけのための仕組み」で支えてあげてください。

そこさえクリアできれば、ランニング後の、あのポジティブな気持ちを持つことができます。そしてそれが「また走りたい」と思う気持ちに繋がっていきます。

これがサイクルとして回り出せば、ランニングは良い形で習慣化されます。それまでは、きっかけと仕組み、で支えてもらってください。

ご参考になれば幸いです。

参考図書





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小池 中人/Nakato Koike
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