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【第27回】転職したら、まずは「裏の組織図」を把握する 

私が転職で就任した部署には部下が数名いて、着任早々に各メンバーの目標設定をすることになりました。

そこで個別に打ち合わせを行い、気がついたことにアドバイスしながら、各自の目標を設定していったのです。

最終的にでき上がった内容については、各自納得した様子だったので安心していたのですが、その後に思いもよらぬ事態が起こります。

「部下たちが陰で大騒ぎしているよ」同僚からの情報です。「え?それってどういうこと?」

「どうもね、新しく入った上司から、とてつもなく過酷な目標を設定させられて、『冗談じゃない。やっていられるか!』って、わめき散らしているみたい」

それはもう、ほとんど「青天の霹靂」としか言いようのないでき事でした。

なぜなら、アドバイスした内容は業界の常識からすると「朝起きたら顔を洗って、歯を磨いて、朝食を食べる」程度のことだったからです。

しかし、部下たちにとっては、まるで「清水の舞台から飛び降りる」レベルだったようです。

納得できないのであれば、直接言ってもらえればすぐに解決もできたのですが、陰であらぬ事を言いふらされては、たまったものではありません。

この件は後日、もっと面倒な事態へと発展します。実は、部下たちは別の部署にいる古株の幹部とも「飲みにいく」など、懇意にしていました。

その幹部は、飲み仲間の言うことを真に受け止めたようで、「とんでもない上司」の話は、間もなく社長の耳にも入ってしまいます。

その後しばらくは、ひたすら「火消し」に追われる日々と化しました。新参者の立場は決して盤石ではないことを、身をもって体験した次第です。

どの会社にも、必ず「裏の組織」があります。予想もしない社員同士が、裏で親密な関係を築いていたりします。

その結果、アフター・ファイブに交わされた会話やメールの情報が、そのまま評価に反映されてしまうこともあります。

会社によっては、スタッフクラスの社員が、幹部と極めて親しい関係にあるケースもあるので(きっかけは知る由もありません)、油断は禁物です。

陰の人脈は、会社でしばらく仕事をしないと分かりません。「郷に入っては、郷に従う」が大切な所以です。

転職先に部下がいる場合、余程のことがない限り、当面は部下の好きにさせておくことも必要です。

するとそのうちに、陰の人脈が少しずつですが、分かってきます。「裏の組織図」を把握することは、転職先で成功する「秘訣」でもあります。

           次回につづく(毎週月曜日に投稿予定)
 
(本文は、弊著『四十歳を過ぎて初めて転職の二文字が頭をよぎったら読む本』<ブイツーソリューション>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)

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中山てつや
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