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2018年 47冊目『重力波は歌う――アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち』
2018年 44冊目の『重力波発見』を読んだ時に、この本を紹介してもらいました。
物体が運動した時に生じる時空のゆがみが光速で波のように伝わる現象が「重力波」です。
約100年前にアインシュタインが存在を予言しながら、これまで観測されていなかったこの波動を、米国のチームがとらえました。
「重力波発見」が事実を把握する本だとすると、この「重力波は歌う」は物語です。
様々な登場実物が出てきます。
重力波を見つけるには1辺4kmのL字型の装置が必要です。
しかもその4㎞は真空にしないといけないのです。
数億光年先での2つのブラックホールの衝突、しかも距離が尋常ではないので、それを把握するために真空が必須なのです。
さらにそのL字型のセットを離れた地点で2か所準備しないといけません。
1つだと間違いの可能性があるから、同時にデータ把握できないといけないのです。
想像できると思います。
そもそも、この大施設を建築するには莫大な金がかかります。
さらに数億光=数億年前
の数時間から数分の変化を発見する必要があるので
つまり、建設できて、十分把握できる精度があったとしても、我々が生きている間に測定できる可能性があるかどうかもわかりません。
建設のために国から金を引っ張れる人。
国の側にそれを理解できる人。
装置を作れる人。
しかも、実はいろいろな装置の可能性があった。
うまくいかないので、改良する人。
予算がだめになりそうな時に再度金を持ってこれる人。
能力は高いけれど、人付き合いできない人。
人を傷つける人。
弱くて逃げる人。
傷つけたから追い出される人。
そんな人の上に、今回の大発見があります。
とても人臭い物語です。
面白いです。
▼前回のブックレビューです。