「ストレスフリーカルタ 誕生の秘密」NO.1
第一章 詩の書けない詩人
あれは秋の、そう紅葉が美しく街を覆った季節。
その詩人は街の図書館の片隅で唸っていた。
「うーん、うーん・・・」
脳みそから何かを捻り出そうと絞る、絞る、雑巾のごとく。
「あーだめだ!」
顔を上げ、その詩人は天井を見上げる。
見上げたところで天から何も降ってこない。
いや、降ってくるのはホコリだけ。
そう、その詩人は「閃き」を待っていた。
もう、いく日もない詩の作品の締切に追われ、
図書館に自主的現実逃避、いや自主的な缶詰を決め、
籠城していた。
「あーー、何も思いつかん」
途方に暮れて、日が暮れて太陽が去った後。
詩人はふっと、本棚に目を向ける。
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