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2016年9月の記事一覧
『いもうとレンズ』(短歌連作7首)
剥がすなと云われ剥がした瘡蓋を糊で貼る半袖の妹
具が何も入っていないおむすびに眉間のしわをふたつ入れたね
金色の魚を掬えば左手の鼈甲飴の兎は逃げて
純粋な子どもを騙すくじ引きで当りを引いてしまういもうと
あんみつが食べたいと云う妹の瞳は小豆色をしていた
バイエルを窓から投げてパステルの音符だらけのパジャマで寝たね
チョキだけで何度でも負けてあげるよ白いこぶしの花が咲くまで
五色塚舞子元町新長田北野摩耶山有馬温泉(短歌連作7首)
恋愛が七割だった七色の想い出の七割は神戸に
日に一度あなたがくれたさりげないやさしさは練習の賜物
夏の夜に手持ち花火で書くスキはスキになるかもしれないの略
失恋は喜劇と知ってそばめしにフィラデルフィアのクリームチーズ
忘れろと告げたひかりの面影が記憶の海を泳いでいます
寂しいか人恋しいか呟いて詩歌の森をさまようツグミ
夕霧に産み落されて塩泉につかる塩化ビニールのアヒル