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隠しポケット

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伝えたい本音を折って仕舞っとくそこそこ目立つ隠しポケット
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2016年7月の記事一覧

八月の隠しポケットから軍歌

八月の隠しポケットから軍歌

文月の花火は咲いて散りながら葉月の加藤法子を鳴らす

父の日の父川べりに犬といる

八月の隠しポケットから軍歌

どの風も風鈴にきてよく喋る

羽抜鶏にもたぶんある盆の窪

振り向かぬためにある蜥蜴の尻尾

補陀落の見える辺りに梅を干す

話しても解らぬ人に林檎擂る

青りんご父を好きだとまだ言えぬ

加藤法子

虫武一俊  第一歌集『羽虫群』

虫武一俊  第一歌集『羽虫群』

舞う虫が織り成す闇と光との秀逸な対比のレトリック

よれよれのシャツを着てきてその日じゅうよれよれのシャツのひとと言われる

鴨川に一番近い自販機のキリンレモンのきれいな背筋

この夏も一度しかなく空き瓶は発見次第まっすぐ立てる

立ち直る必要はない 蝋燭のろうへし折れていくのを見てる

虫武一俊 /『羽虫群』

実を申しますとこの第一歌集には過度の期待はしていませんでした。

何故なら私は著者の

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