根回しはくだらない。日本でなく、海外で、根回しするのか検証してきた。
失敗した。
今日も、また会議後に怒られた。
「お前には、根回しが足りない」
社会人1年目から、今になっても言われている。
人にお伺いを立てることは、幼少期から苦手だ。
社会人1年目の頃は
「はぁ?なんで根回しするんだよ。お伺い立てる時間あったら、サービス案のブラッシュアップするわ。なんのための会議だよ。説明するための資料作る時間が無駄なんだよ。めんどくせえ!」と、イキり散らかしていた。
今は、昔ほどイキり散らかしていないが、根回しに対してのモヤモヤは心に残っている。何か、不誠実な気がするのだ。納得がいかない…。
でも、大丈夫。今は、インターネット時代。
僕は幸いにも、ミレニアル世代であり、Z世代より前のY世代だ。
困ったらGoogle先生が、何でも教えてくれる。そして、僕らは、いつかGoogleに情報操作され、洗脳されながら生きていくんだ…。うわあああぁ…。みたいな頭の悪いことを考えながら、答え探しツアーを開始してみた。
ほら。教えてくれそうだ。
この検索ワードをクリックしたら、きっと、ドヤ顔のひろゆきが「根回しする人は頭悪いんですよねぇ」、「根回しを根回しって見抜けない人は…」みたいな極論で、僕に納得感をくれるはず。
この人は、遅刻も正当化できる。きっと根回し不要論も納得する答えをくれるはず…。論破王の出現を祈りながら、左クリックする。
嘘…だろ…。
まさか、僕はGoogleにも怒られるのか…。
根回しについて、説得させてくるムーブじゃん。
この流れは幼少期の頃に、親が僕に諭してきた流れと一緒だ。Googleの画面に母の面影が浮かぶ。
いや、まだだ。まだ、諦めない。
検索ワードに「めんどさい」が残っている。
ひろゆきじゃなくても良い。ホリエモンでもいいから助けてくれ。
Googleの検索アルゴリズムはユーザーが求める最適解を表示するために、日々精度を向上させている。
大衆に求められるWebサイトが一番上に表示される仕組みだ。
つまり、Google、そして大衆は教えてくれた。
根回しができない人間にとって、世界は残酷だと。
他にも
根回し下手では、出世できない
根回しが苦手である限り、一人前の組織人になれない
根回しは、相手への思いやり
など、様々な主張がでてくる。
いや…。根回しできない人に厳しすぎない?
根回しができないと、出世はできない、一人前の組織人になれない、相手への思いやりがない人間となるようだ。もう、これ、ワガママなバイトじゃん。僕は、自分のことを正規雇用だと思っていたのだが、どうやらバイトだったらしい。税金が心配だ。
さて、一般的に根回しが大事という主張が多いことは理解できた。ただ、納得はいかないので、他のサイトも探してみたら、あった。
冒頭のNemawashi is cheating!が気になるが、僕は、この欧米人と同じ気持ちで、根回しはcheatingだ!と怒っている派だ。
引用したブログには、根回しの大事さが書いてある。他記事と論旨は変わらない。
だが、注目するのはそこじゃない。
そう。海外に行ったら、根回しが無い世界になるかもしれない。
僕は日本の考え方に合っていないだけなんだ。世界は広い。
だったら海外で根回ししないで、生きていけばいいんだ。
そこで、欧米ではないけども、中央アジアのキルギスで働く機会があったため、本当に根回しは無いのか検証してきた。根回しのない世界で正規雇用を目指して。
海外に行ってみて、根回しは無かったのか?
結論から書く。
失敗した。
日本より、めっちゃ根回ししました。
もう。嘘じゃん。
海外根回し無い説は、崩れましたよ。
Nemawashi is cheating!って何だったの?
僕が関わったプロジェクトの一つで、根回しは大量発生した。
そのプロジェクトでは、海外である資料をつくるために有識者でチームが組まれた。別機関かつ専門性が各々違う。僕は日本の知見を共有する立場から参加した。まぁ、簡単に書くと、アベンジャーズ、もしくは東京リベンジャーズみたいな個性的なメンバー。
うーん。進めるにしても難しい。
各々、資料を自分の研究や経験の元で良くしたい思想がある。ただ、専門分野が違うため、重要箇所の濃淡が違う。このまま、どうやって作りましょうか?と話しても、会議で紛糾する確率が高い。
おいおい…。選択肢なんてないじゃないか…。
全員に根回しするしかなかった。
想定される文字通りのたたき台を、各所に説明。その後に、意見を全て収集し、論点をまとめ、全体会議を実施。また、各所に意見を聞きに行く…と、完成するまでこのループを実施した。
しかも各々が専門家だ。説明し、相互理解するまでに、早くて1時間、長くて5時間以上かかることも珍しくは無かった。時間は有限であり、日本とのすり合わせにも時差がある。無我夢中で、仕事していた記憶が残っている。
なぜだ…。僕は、根回しの無い海外に来たはずなんだ。
日本より根回しをしている。やっぱり世界は残酷なんだ…。
とか、思いかけたが、実際に心に沸き上がった感情は違ったりしていた。
全然、嫌な気持ちはしない。
あれほど、根回しは不誠実だと思っていた。
正式な会議があるのに、非公式の場で意思決定紛いのことが起こることは、不公平であり、不義であり、唾棄すべきことだ。
しかし、本プロジェクトの根回しは嫌だと思わないのだ。
「根回しが9割」のような、しょうもない本を執筆するぐらい実施したのに…。
いつから、根回しだと錯覚していた?
海外での職務経験を反芻してみる。やはり、嫌悪感は無かった。
うーん。根回しで、ツラい過程はあったのだが...。
ロシア語で意味不明に怒られたこともあった。
まぁ、他言語で怒られても、マジで何を言ってるか分からないので、割と流せたりしたのだけれども。
なぜ海外のプロジェクトで、根回しに対し、不誠実さを感じなかったのだろうか。
キルギスに駐在していた時は不明瞭であったが、日本に帰国する飛行機の中で、ふと気づく。
そうか。根回していなかった。
最初は、日本のチーム内で作ったとはいえど、キルギスの事情までは詳細は不明なため、作成物に抜け漏れが多数ある可能性が高く、不安ばかりである。
その不安がある状態で、全体会議をし、専門的な反論をされたら何も答えられない。また、そもそも不完全な資料が完成してしまう。
ということで、根回しでなく、事前相談って感覚だった。
不思議なもので、根回しという言葉には不誠実を感じるが、事前相談には感じない。
実際に、実施している行為は同じなのに。
僕は根回しを、自分の意見を通すために、水面下で交渉すると考えていた。
自分の意見を通すため。つまり、僕の中では、自分の意見を、普通に話したら相手に理解されないという、利己的すぎる感情を孕んでいた。
意識・無意識的かは不明だが、どこか相手を卑下したニュアンスを感じる。
だから、僕は、不誠実さを感じていたのだ。
ちょっとスッキリした。なので、備忘録として書いておくと、どんなに思いがあっても、単一意見では、矮小であると自覚し、謙虚であり続ける。そして、根回しでなく、事前相談と内の言葉で選べる人間になりたいと思った限りだ。
周りから見ると根回しに見えるかもしれないが、結果が出て、全員に益があれば、それで良い。
これからは、根回しの言葉を使わないようにしていこう。
根回しではなく、事前共有。みんなで物事をよくしていきましょう。
また、書くので、よろしくね!
追記 24.06.24
本noteから、まさかのABEMA Primeから出演依頼がきた。今回は銀行での根回しが論点の中心となったため見送りになったが、当初は海外に根回しあるの?という企画で進んでいたため、声がかかった。noteは何があるか、わからない。
※ABEMA様には本記載の許可もらってます。