【読書録】秋期限定栗きんとん事件 米澤穂信
はじめに
本書は小市民シリーズ第3作目にあたります。今回は主人公が小鳩くんに加え、新キャラクターの瓜野くんが加わります。この時点で過去の2作とは一線を画す作品であると思います。
そして読んでいる途中で前に読んだことがあることに気が付きました。おそらく本書を読むが2回目であるということです。😅
ということで今回もざっくり感想をまとめたので、最後まで読んでいただけると幸いです。
殺人事件のないミステリの最高峰
小市民シリーズは日常の謎に分類されると思います。しかしながら、本シリーズは刑事事件が発生し、流血沙汰まであります。高校生の起こせる事件のギリギリを攻めている感じがあります。
マーダーミステリーのような全てがひっくり返るようなトリックはありませんが、事件にリアリティがありイメージがしやすいです。(館みたいに図面を何度も見返す必要がありません笑)
逆にイメージがしっかりできるからこそ、どのように事件を解決するか探偵役の小鳩君と対決しやすいです。ちなみに私は小鳩君に勝てたことは一回もありません泣。本当に彼は高校生なのか?というレベルの洞察力です。
ほろ苦い青春
本作はシリーズの中でも特に恋愛要素が多いです。前の2作が意図的に避けてきた節があったため、かなり序盤から度肝を抜かれました。
ただ甘酸っぱいというよりかはほろ苦い感じの青春です。高校生の時の自分ならかなり引きずると思います。。。甘酸っぱい感じは古典部シリーズで味わうしかありませんね!
「小市民」というワードの妙
本作の主要人物である小鳩君と小山内さんは「小市民」を目指して日々息をひそめて?生きています。そして本作に登場する瓜野君や仲丸さんは個性的ではあるものの、小市民の枠に入るキャラクターとして描かれていると感じました。
私は小鳩君と小山内さんの頭の良さが高校生離れしているので、性格を直したとしても普通に優秀な人材として輝ける人だと思っています。きっと本人たちは望んでいないのでしょうけど。。。
おわりに
小市民シリーズを現在のところ残りは「巴里マカロンの謎」のみとなりました。近いうちに読んで、シリーズ制覇したいと思います!
また本シリーズとの出会いは春季限定イチゴタルト事件のマンガを読んだことがキッカケでした。当時は高校生だったので、今よりもかなり小鳩君に推理対決を勝手に挑んでいた気がします。。。そして高校生だった頃が10年以上前という事実に気づき、震えを覚えながら今回は終わりにしたいと思います。