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【読書録】「分断を生むエジソン」 北野唯我

はじめに

 著者は「天才を殺す凡人」や「転職の思考法」などを書かれた北野唯我さんです。特に「天才を殺す凡人」は私がビジネス本を読み始めるきっかけになった作品です。北野さんの著作は本質を突きながらも、分かりやすい簡潔な言葉で書かれているので、ビジネス書入門としてオススメです。
 
 本書は「天才を殺す凡人」の続編にあたる内容となります。未読の方は先に読むことをオススメします。どちらの本もビジネス書にしては珍しく、物語調で書かれています。

 簡単な要約と特に勉強になったと感じた部分をまとめてみたいと思います。
 

概要

 本書では現代を「影響力の時代」として4つの国に分けて捉える考え方を提唱しています。

①西の国:技術と変化
 革新派の集まり、新しいものや最先端のものを好む。アメリカでいうシリコンバレー。
 
②中部:法律と公益
 法律を作る側であり、ルールを執行する存在。国家や公益に主義を置き、社会的な価値のあるもの、中央集権的なものを好む。アメリカでいうとワシントンD.C.。

③東の国:経営と雇用
 西の国と対立する傾向にある。実利と歴史あるものを好む。アメリカでいうとニューヨークであり、金融街。

④南部:娯楽と生活
 生活や家族に主義を置き、最も数が多い。共感できるもの、実生活に紐づくものを好む。
 雇用に不満があると東の国を頼り、社会に閉そく感があると西の国を頼る。中部には興味がない。

病める4人の王

 上に示した4つの国にはそれぞれ病める王が現れる。それを資本主義社会が生み出した4つの大病として定義されている。

①西の病:分断を生むエジソン
 好奇心にすべてを捧げて猛スピードで突き進むが、そのスピ-ドに誰もついてこられず分断を生む

②東の病;魂なきバンカー
 「成長」という手段が目的化して思想を失うと、会社という幻想が、実体以上の力を持ち、人も心を殺し始める

③中部の病:夢を忘れたピーターパン
 正義は移ろいゆくものであり、それを追い求め続けることは過去の自分を否定することになり、仲間同士で殺し合う

④南部の病:才能を殺す巨大なスイミー
 群れで行動するがゆえに群れの外が見えず、思考停止に陥り、本来的ではないものを殺してしまう

 

大事なのは上の4つの地図の本質を理解すること。


例えば西の国は全体の1%しか領土がない。ほとんどの人は変化など求めていない。西の国以外の人にとって変化は仕方なく訪れるものである

分断を生むエジソン 北野唯我(2019)

  私は開発系の仕事をしているため、どちらかというと西の国側の人間になると思います。本書に書かれている4つの国は世界全体の分け方として語られていますが、自分の会社にも落とし込めると思います。相手がどの国に属する人なのかを考えることで、周りとのコミュニケーションが円滑になると感じました。

おわりに

 本自体がかなりまとまった内容になっていたため、さらにそこから要約するのが大変でした。北野さんの著者は社会人として必要不可欠で普遍的なものが多いので、本書に興味を持っていただけたら、是非別の本も読んでもらいたいです。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献

北野唯我(2019)、「分断を生むエジソン」講談社

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