これを先祖供養という 書籍「心の傷は遺伝する」解説-09
このnoteはアメリカで心理療法の臨床をしているマーク・ウォリンさんという方が書いた「心の傷は遺伝する」という書籍について、阿含宗会員信徒ならではの視点で解説をする連載の第9回目となります。
他者への恨み、病苦、失敗した人生への後悔をトラウマ、心の傷として抱えて死ぬと、その想いは阿含宗用語で言うと「怨念」、マーク・ウォリンさんの言葉で言うと「苦悩の衝撃波」となり、世代を超えて継承されます。このトラウマを継承する現象を阿含宗用語で言うと「霊障」、マーク・ウォリンさんの言葉で言うと「トラウマの世代間連鎖」と呼びます。
これらのトラウマによって、人生において様々な問題が発生します。
第5回までに仕組みや影響範囲についての説明をしました。
第7、8回でマーク・ウォリンさんたちの考えるトラウマの解決方法について、阿含宗会員視点からは危険すぎて全く推奨できないことを説明しました。
この第9回では、マーク・ウォリンさんが語る「成功のコア・ランゲージ(核となる言葉)」の考え方、「ヒーリング」という名称での実践方法についての概要です。
そして、これは、つまり「先祖供養」ですよね?
という内容です。
ちなみにマーク・ウォリンさんが説明している具体的な供養の方法は「お願いですから、そんな危険で可哀想なことは、やめてください」と言わざるを得ない内容です。これは別のnoteに記載します。
これを先祖供養という
マーク・ウォリンさんは、このように説明しています。
「トラウマ」「同化」という単語を「霊障」とか「運命の反復現象」という単語に置き換えれば、この文章は、そのまま阿含宗の教義教学になります。
このトラウマの除去方法のひとつを「ヒーリング」として説明されているので引用します。
「家族史を探る」「悲惨な出来事とそれに巻き込まれた人々を意識的に知るところから始めよう」、つまり「先祖調べ」をする必要があると述べています。「先祖調べ」は先祖供養の一種です。その存在を忘れられている先祖にとっては、自分のことを知ろうとしてくれている子孫の行為そのものが、その先祖に対する供養になると阿含宗では認識しています。
そして対象者が故人である場合は、その故人である先祖や、故人となった巻き込まれた人々と「想像上で対話する」。つまり、これを仏教用語で置き換えれば、これらの人々の存在を密教用語でいうところの観想をしながら先祖供養の法要、勤行をするということです。法要とか勤行という仏教的な言葉がイヤならば先祖供養を目的とした「瞑想」をすると理解すれば良いでしょう。
そして、その対話として故人に語りかける言葉の事例がいくつか並べられています。
先祖供養、主に慰霊の言葉が並んでいます。
ちなみに「意義ある行いをして、それをあなたに捧げます」という文言は、昔から仏教では「自分が徳を積み、その徳を先祖に回向する」という言葉で説明しています。全く同じ意味です。キリスト教にも自身の積徳を先祖に回向するという概念があるのでしょうか?キリスト教圏の人から、このような説明が出てきたことに、ボクは驚いています。
そして、先祖の写真を飾ったり、ロウソクに火を灯す、先祖から支援を受けているとイメージを持つといった「儀式」や「練習」を繰り返すことで、自分自身が変わっていくことでしょうと述べています。
つまり仏教用語に換言すれば、先祖供養の勤行をしましょうと説明しているわけです。勤行は「瞑想」という言葉に置き換えることもできます。
全体的な理念というか、目指すところは、まぁOKだと思います。
しかしながら、ヒーリングとして説明している実践では、第8回に述べましたが、危険すぎて推奨できません。
そして、先祖供養という観点で見た場合、全否定はしないけれど、部分的には「お願いだから、やめてくれ!」と声を大にして訴えたい、完全に誤った先祖供養を行っています。
これは第10回のnoteで説明します。
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