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マイクロノベル集「遠く、遠く」

マイクロノベルNo.1992
日の出前、星明かり一つない真っ暗な空で雷の音がした。歩いても頭上を音がついてくる。「気に入られたな」天井川にかかった橋で少女が言う。「真似をしろ。一度手を重ねて上下に開き、勢いよく合わせる」ぱん。雷音は消えた。それ以降、聞いたことはない。


マイクロノベルNo.1993
「私から離れてはいけない」という約束を破ってしまった。知らない世界にたどり着いたぼくを助けてくれた彼女の言葉を思い出す。「遠く離れるほど命令を聞かなくなるから。家、学校、会社、国、地球。お前はどこから来た?」恐らく、遙か遠く彼方の宇宙から。


マイクロノベルNo.1994
ゴミを掃く。床を磨く。うまくできたらぼくの得点になる。「このやり方は格好悪いな」それってクレーム? 「いいや。品がないだけ」そっか。どうしようかな。「品良くできたらお前の陣地になる」本当かな。ゴミを掃く。床を磨く。あっ、充電しに帰らなきゃ。 



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