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マイクロノベル集「記憶の森でネタバレに遭遇する」

マイクロノベルNo.1944
例えるならば、私は狩人。愛らしいウサギを追っていたはずが、怖ろしい狼の巣に入り込んでしまった、記憶の森の迷い人。「で、僕の名前を思い出せた?」ちょっと待って。今、泉の精霊が「お前が捨てたのは金の卒業アルバムか、銀の卒業アルバムか」捨てるな。


マイクロノベルNo.1945
未練を残した者は成仏できぬと申します。私も同じです。しかし、なんの思い残しがあったのか、どうしても記憶が定かではないのです! ああ、私の頭の中を記した書物があれば……!! 「だから、君はライヘンバッハの滝に落ちたんだけど」ネタバレしないで!


マイクロノベルNo.1946
我が領域テリトリーへようこそ。書籍とは外部記憶装置。つまりお前は私の脳に迷い込んだ無力な活字の一つなのだ! 「まだ読んでない本でも?」知らないの? 積読本は精神安定に良いんだ。「主人公の行動にリアリティがないから星一つです」ネットの評価を書き込むな!



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