マイクロノベルちょいす 047「お前、脱線してね?」
No.1187
悪魔も眠るから、安眠の欲は理解できるんだけどさ。枕の素材にそこまでこだわるかねえ。わかってんのか? お前がいま頭を預けてる水袋に入ってるのは、魔界でも珍しい魂を喰らう魚だぞ。まあ、お前の魂は俺がもらったあとだから、失う物はなにもないけどな。
No.1194
多様性が大切なんだよ。犬はワンワンと鳴くけれど、ワンにも色々あってね。喜びのワン。不満を伝えるワン。甘えるワン。猫ならニャーニャー鳴くけれど――「ごはぁん」ちょっ、あいつら人間にラブコールじゃくて要求を出してる!? 卑怯だぞ!
No.1208
頭の中で雨音みたいなノイズが鳴り止まない。どうもこの体の持ち主は頭痛持ちらしい。ここまで精密にコピーしてしまうのは厄介だが、俺が高性能な証だ。「頭痛なんてしないぞ」馬鹿な。じゃあこのノイズは……あの空にかかる七本の線はなんだ? まさか、虹?
No.1222
これで契約成立だ。お前の願いを叶える代わりに魂をもらうぞ。ここで新サービス! SNSに毎日魔王様の宣伝を書き込むと、魂と月に一度面会が可能になります。さらに「いいね」を集めると、かつて悪魔から魂を取り返した人間へのインタビューが読める!
No.1230
光あれ! 光があればなんでもできる。観測し放題。インターネットもできるぞ。ワープの実現も近い! 「ブラックホールは?」あれは邪道だよ。最短距離を真っ直ぐ進むという美学がない。「ああ……光が闇に呑まれていく」勝手に闇堕ちさせないでくれるかな。
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