アダルトチルドレンが命以外の全てを失いかけた日に起きた奇跡
◉「それ」は自分のうっかりミスから始まった。
わたしは子供のころ父親のアルコール問題に翻弄される毎日を送っていました。
その後、自分はアダルトチルドレンなんだと自覚してからも、生きづらい人生を息切れするように苦しんできました。
そんな人生の中で、自分の人生や可能性が足元から削られていくようだと感じたことが何度かあります。
「人生、ここだけは絶対奪われたくなかったのに、ついに侵されてしまった」と感じたことも、一度や二度ではありません。
それとは別に、後々振り返った時「ひょっとしたら、あの時まかり間違ってたら、本当に人生の取り返しがつかないことに巻き込まれていたのかもしれない」と身震いする記憶もあります。
今からお話しするエピソードは、混じりっ気のない純度100%の実話です。
しかし決して、アルコール依存症患者を抱えるすべての家族が悲惨な出来事に見舞われると言いたいわけではありません。
親のアルコール問題でどんなに生きづらい人生だとしても、最後まで諦めてはいけないと証明するための「なぎの家で起こったある日のエピソード」であることを、あらかじめお伝えしておかなければなりません。
それはわたしが中学生の頃、正確にいうとアダルトチルドレンになる原体験のお話です。
毎日父親のアルコール問題が嵐のように吹き荒れてはいましたが、そんな中でもわたしは人並みに部活動なるものにいそしんでいました。
わたし自身の性格もあるのか部活動でも人間関係は良くなかったですが、それでも家にいるよりはまだマシだったこともあり、部活動自体は真剣に取り組んでいたように思います。
そんなある日、学校の授業が終わり部活に行こうとしたところ、普段は忘れない部活道具を家に置いてきたことに気づきました。
「うわあ、なんで忘れちゃったんだろう・・。家に取りに帰るの、本当に面倒くさいな・・」
この頃すでに家庭は崩壊しており、家に帰ると父親が泥酔して、酩酊して、たいてい何か問題を起こしているので、できるだけ父親と二人で長い時間は家にいたくなかったのです。
自分のための他の居場所がなかった当時のわたしには、学校以外のどこかで時間を潰すという選択肢がありませんでした。
そんなこともあり、家まで大急ぎで道具を取りに帰り、改めて部活に行こうと決めたのです。
学校から30分ほどでアパートに辿り着き、息を切らせながら「やれやれ」と玄関のドアを開けたとき、衝撃の光景が目の前にあらわれました。
なんとドアを開けると、大量の白い煙がブワーっと噴き出してきたのです!
わたしは一体、何が起こったのかわからず、とっさにドアを閉めました。
「ものすごい白いもの、あれは煙か?」
「火事か? でも火は見えなかった」
「ボヤなのか?」
このとき、わたしの頭は冷静だったと思っていたのですが、私がとった行動は決して冷静なものではありませんでした。
「早く部活道具を部屋に取りに行かないと!」
なんと、わたしは数秒の逡巡ののち、袖で口を塞いで白い煙が充満した家の中へ飛び込んでしまったのです。
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