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エッセイ/凪というものについて
こんにちは。凪といいます。
書くことが大好きで、同じくらい読むことも大好き。
実は、ライター業と同じくらい頑張っているお仕事があります。
それは心理のお仕事。
この記事では、凪という名前でお仕事をスタートするまでのことを書いています。
安田講堂での出会い
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数年前に、東京大学大学院で研究をされている滝沢龍さんのお話を聞きました。
順番に、教授たちが自分の研究について発表して、滝沢さんの番。
若く穏やかそうな彼が話した言葉が、すごくシンプルで、情熱的で、わかりやすく誰にでも伝わるもので、心を動かされました。
どうして、いつも穏やかな気持ちでいられないんだろうと思っていました。
幸せだったり、怒ったり、泣いたり、落ち込んでしまったり。
どうしたら、いつも穏やかな気持ちでいられるのか知りたいと思って、心の健康を科学するために研究をしています。
私は一人で聞きに行っていて、それはもう、静かに感動。
私もぼんやりと考えていることはあったけど、それがどういう気持ちかはっきりと人に話せるまで整理できていませんでした。
滝沢さんがとてもやさしい言葉で、ストレートに言語化したことで、ストンと自分の中に落ちた気がしました。
自分が情熱をかけていることを、誰にでもわかる言葉でこんな風に話せる大人になりたい、と思いながら会場を後にしたのを覚えています。
その頃、学校で働いて約10年。
学校教育のこと、公立学校の役割、自分が教員としてできることについて、これからどうしていこうかとよく考えていました。
子どものことを第一に、保護者のこと、先生たちのこと、いろんなことを考えて毎日を過ごしていたら、なんだか自分の心を大事にできていない気がしていた。
多分、学校で頑張っていくこともやりたいことの一つ。
でもやっぱり、外の世界を自分の目で見たい。
その気持ちを大事にしたいと思っていました。
違うフィールドに行ってみることにした
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その半年後。
一度これまでの仕事のフィールドから、外に出てみようと決意しました。
バタバタと面接を受け、ずっとやってみたかった領域のお仕事へ。
人のお悩みを聞いて、一緒に気持ちを整理していくことが新しい仕事。
今のお仕事では、一週間のうちに何人もの、人間らしさ、涙、悩み、葛藤を見ます。
笑顔を見ることはなかなかありません。
そうするうちに、気がついたこと。
自分がフラットな心でいることが、この仕事では肝要なのだ、ということ。
じゃないと、それはもう簡単に、心を持っていかれます。
仕事中にフラットな心でいることを心掛けていると、意外と疲れます。
どんなに自分の中で軸があっても。
だから、仕事が終わったら、自分の気持ちに素直に生きるプライベートの「私」に戻ることを何よりも大切にしています。
一生かけてやっていきたいことは?
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数年前の、沖縄の島。
風もなく、波もなく、まさに「凪」の状態の海を眺めました。
というか、誰もいないビーチで泳いだ時間があって。
砂浜が真っ白で、海は透明な水色。
風がなく、波はとっても穏やか。
ぼーっと海に浮かびながら、
何もしたくないな〜、一つだけ、大切にするとしたら何かな〜、と考えていました。
大切にしたいことは一つだけ。
それは、穏やかな生活。
朝起きて、好きなことや仕事をして、おいしい食事を食べて、それを分かち合える大切な人と一緒に過ごして、よく眠る。
それ以上に幸せなことはない、と。
心から、そう思っています。
その頃からはっきりと、誰かの穏やかな毎日につながることを仕事にしたい、と思うようになりました。
怒りに震える日も、落ち込んでどうしようもない気持ちも、目の前の人が少しでも穏やかになるように。
そういう気持ちを受け止める自分も、凪の状態で向き合えるように。
そのための手段は、カウンセリングだったり、書く仕事だったり。
やりたいと思うことにどんどんチャレンジしてみようと思い、小さな事業を「凪」と名づけています。