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枝ちなみ
2022年7月16日 20:28
大切なことが何も無かった日を過ごして、夜になった。私はぼんやり外を眺めながら、日記を開く。窓から見えるのは星ではなく、黒。黒のような、濃紺。何も無い、空。色弱な私にはあまり区別がつかない。田舎であればきっと黒の中に浮かぶ白い光が見えただろうな。日記の1文にそう書いた。大切なことが何もなかった日は、書くことがない。生きていたことが大切だとはよく言うが、そんなことを言ったら毎
2022年7月14日 02:05
走って帰った玄関の先で、床に手紙を叩きつけた。畜生と呟いたら、涙が零れた。一日は、二度と戻らない。今日しか渡せなかったはずの手紙。小学5年の夏の午後。あいつは今日、引っ越した。それでいて今日が、最後の登校日だったんだ。同じ誕生日で隣同士の保育器に入りそのまま家も近所だったからずっと一緒に育ってきた。そんなあいつが突然引っ越すことになった。両親の離婚。正直俺からも