見出し画像

ストレスを拾いに行っていた私は、趣味を始めたおかげで人間に戻れた

今でこそ多趣味なトピックスを連載してますが、生まれ持ってアクティブだったわけではなく、5年ほど前までは身も心もサビついた出不精人間でした。指定難病にもなりましたし。

どんより曇り空だった昔を蒸し返すのはあんまり好きではないのですが、今では心地よい晴れ模様を楽しめるようになっています。

「雨季にも終わりがある」ってことを伝えるべく、振り返ってみたいと思います。

12/17追記:
公開から想像以上に多くの反響をいただいてます!とてもうれしいです。ありがとうございます!

わーいわーい

やりたくないストレスと、やれないストレスの板挟み

当時フリーでライターをしていた私は、貴重な仕事をすがる思いで励んでいました。クラウドソーシングで仕事を探してみても、当時の自分に見合う仕事がなかったり、なぜだか応募に躊躇したりして、なんとも不器用な日々を送っていました。

仕事を選ぶ余裕も選球眼もなく、断る勇気もなかったので、ほとんど詐欺みたいな商材のLPを書いたり、大して凄くもない起業家のヒストリーを代筆したり、公の場で言いづらい仕事ばかりしていたのです。

やりたくない仕事はホントにやりたくない。なので、YouTubeでアイドル番組のまとめや昔やってたゲームの実況を観て、極力逃げてサボります。そして、締め切り間近になって(やべっ)と焦ってやりだすような、締まりの無い日々。

YouTubeやゲーム実況も、別にやりたかったわけではなく、単に現実逃避のツールとして都合が良かっただけで、大して楽しい時間でもないのがツライところです。

ロードバイクや観葉植物をやりたい気持ちは当時から多少あったのですが、
(やるべきことをやらずに趣味を楽しむなんて)と
変に意固地になっている自分がいて、やらないでいたのでした。

お金はありませんでしたが、観葉植物なら1株そんなにかからないはず。でも、不思議なことに当時は金額を調べることもせず、YouTubeでロードバイクや観葉植物の動画を見るわけでもなく、やりたいことにフタをしていました。

  • やりたくないストレス

  • やれない/やらないストレス

完全に板挟み状態。サンドイッチにしたって旨味はありません。

「ストレスサンド」・・・売れなさそう

やりたくもない仕事でストレスを抱え、やりたいことは我慢してさらにストレスをためこんでいく。当時のTwitterやYouTubeで、芸能人の不倫やあおり運転の記事をみて、自分に全く関係ない世界のストレスをわざわざ拾いにいく。「日本って素晴らしい!」的な動画とか「海外の反応」みたいな右寄りのコンテンツをみては、自分の人生の正当化に勤しんでみる。

本来なら取り入れなくてもいいストレスまで自分のものにして、ストレス発散をするためにストレスを探していました。その場しのぎの発散方法ですべて解消できるはずもなく、すっかりストレスを取り入れてためこむのが習慣になっていました。

そんな濁りきった日々を送るうちに、私は身体を壊してしまいました。

潰瘍性大腸炎がターニングポイント

程なくして
(最近下痢が続くなぁ)と悩むようになります。

何度もトイレに駆け込むようになり、それもストレスになっていたのですが、ふと自分のしたものを見ると、赤黒くなっていました。トイレットペーパーは真っ赤。

歩いていると時々ふらつくようなこともでてきたので、
(これはただごとではない)
と焦った私は消化器内科を受診し、病名を告げられたのでした。

『潰瘍性大腸炎:直腸炎型』

指定難病の1つで、安倍元総理が患っていたことで知られるようになりました。最近は若い方でも増えているようです。

幸い、発見は比較的早かったようで、服薬のみで済んでいます。

「指定難病」と聞くとゾワッとすると思うのですが、私は不思議と絶望感はなく、むしろホッとしていました。底に足がついた気がしたからです。

(よかった。今の苦しみに名前があって。)

原因不明だったらもっと辛かったと思います。文字にしてみると重く見えるのですが、当の本人はケロッとしてました。

当時の生活にドクターストップがかかった気がして、がんじがらめだった鎖をほどいてくれた気がして、そこから生活を改めようと決心しました。

健康寿命を延ばすことを決めた

病気になったことで、私は健康を意識するようになりました。

大腸がんになるリスクが健康な人よりも大きく、おそらく寿命も人より若干短いのではと見積もったからです。

(人より早く死にそうだな。)と思ったときに
やりたくもないことに命を削られていくのがどうしても嫌で、それから仕事を選定するようになりました。

「健康寿命を考える32歳」は不思議かもしれませんが、60歳になってから考えるのではすでに若干遅い気がしているので、まだ足腰と頭がマトモな今のうちに、やりたいことをやっておきたいのです。

そうでなければ、命がもったいない

原始的な強さを求めたアラサーの私

ランニングを始めるようになったのは、元をたどれば健康づくりです。
(仕事が落ち着いた老後に、動けなくなるのはツライ)
と思い、足腰が鍛えられるランニングを選んだわけです。

60歳からランニングを始めるよりも、30歳から始めれば成長も感じやすいでしょうし、記録も伸ばせるでしょうからね。早い方が有利に決まってます

現実的な目線でお伝えすると、健康でいれば仕事を続ける選択もできますし、病気やケガが少なくなれば医療費も削減できます。介護施設に入るのを1年でも遅く、1年でも短くできれば、家族の負担も軽減できると思います。

健康は最大の資産であり、節税効果もあるわけです。

あと、今のうちにやっておくと老後で有利になると考えました。

老後になると「背筋を伸ばして立てる」「歩ける」「走れる」だけでチヤホヤされる印象があります。フルマラソンを完走するおじいちゃんなんて超人のようです。カッコイイ

腰が曲がってないとさらにプラス

最終的には「原始的な強さ」が重視されるようになるので、今のうちにヒト科としての強さを身につけておこうという企みでした。

いずれお金を払ってでも手に入れたいと思うようになるのが「健康」なので、それならば今のうちに手に入れて磨いておこうというわけ。

「10km20kmも走って何になるの?」
なんてツッコミたくなる人もいると思うのですが、私の場合は、1m先のモノを取るのが億劫になるような老いぼれた人生を避けるためにやっています。

無趣味だった私が、なぜランニングを習慣化できたのか|永田 健人

趣味のおかげで人類に戻れた

ランニングを始めると、健康面で様々なメリットがありました。

  • 睡眠の質が良くなる

  • 食事が美味しくなる(罪悪感が減る)

  • 食生活に気を使うようになる(暴飲暴食が減る)

  • 集中力が長くキープできるようになる

  • 心のよりどころが得られる

  • ノイズが減る(SNSの閲覧)

  • メンタルがタフになる

  • 自信がついてくる

普段がデスクワークで座りっぱなしだったせいか、ランニングを始めたことで心身のサビが剥がれていくような感じがしました。自分の中にあるモヤモヤとしたものが振り払われていく感じ。新たにモヤモヤをもらっても、走っていくうちに紛れていくこともありました。

何か嫌なことがあっても週末に趣味をしていると紛れますし、何だったら鬱屈したものを一旦放置して現実逃避することもできます。緊急性のないLINEやDMなんて無視無視。

不毛な議論をしているSNSを見る時間は減って、かわりに同じ趣味を楽しむ投稿を見てホッコリする時間が増えました。今では趣味アカウントをつくり、趣味仲間とたまにワイワイすることもあります。職場と家族とは違う「サードコミュニティ」があるのは精神衛生上とても良いです。

社会人としても、ヒトという動物としても、眠っていた力を取り戻した気がしました。生命力の向上を感じています。

・・・趣味をやれない人から見ると、今の私はかなりアクティブでエネルギッシュに見えるかもしれません。でも、これは先天的なものではなく、「よいしょよいしょ」と自分の背中を押して、重い腰を何度か上げてチミチミと積み上げてきたものです。

楽しいことやってるんだから努力感はないんですけど。しんどいのは最初だけです。何だったら着替えて家を出るまでが努力。楽器や手芸なら準備するまでが努力。

世の中で最も重い扉

たぶん、趣味を始めて1ヶ月位は「ウッ」と来るかもしれないので、人として生き直すためのリハビリくらいに思ってみると良いかもしれません。

義務感から自分を解放することに、少しずつ慣れていってみてください。

趣味は生活を丁寧にした

ランニングが趣味になって痛感したのは、

「ランニングで健康になるけど、そもそも健康でなければできない。」

ということでした。

・・・アホみたいな結論ですが、これが思いのほか根深いのです。

ランニングのおかげで睡眠の質が改善されたり食生活の見直しにつながったりしたのですが、逆に言うと夜ふかしや暴飲暴食をするとランニングのパフォーマンスに影響するので、不健康になることを避けるようになりました。

美味しいんですけどね。

まあ、たまにポテトチップスや二郎系ラーメンもいきますけど。それでも(また走ればいっか。)となり罪悪感は薄れます。

風邪や病気になれば当然、趣味をする余裕がなくなります。

なので納豆・キムチ・ヨーグルトを常備して腸活するようになり、内臓を冷やさないように氷水やキンキンジュースはなるべく避けるようになり、入浴後や寝る前はストレッチをするようにもなりました。

努力してやってるわけではなく、「健康的な生活を送れている自分」が好きで「よりよい選択ができる自分」にハマっている(酔っている)だけです。

「コーヒーが好き」っていうより、「朝に豆を挽いてKindleで読書しながらコーヒーを嗜んでいる自分が好き」

そうした方が優雅な気分になれるんです。優雅な気分になれて、しかも健康でいられるなら願ったり叶ったりです。

そうそう、時間の使い方も丁寧になりました。

ランニングする時間を工面するようになるので、ボーッとYouTubeを観る時間が減ったり、夜ランをするために仕事を集中して取り組めるようになります。

朝に走ろうとすると当然夜ふかしはできず早起きになり、走った後の朝食やシャワーに優越感を覚えます。一通り終わってまだ8時だったりすると「自由な時間がたっぷりある!」とワクワクします。

教科書にあるような健康的な生活を送るようになり、そこがまた自己肯定感を上げる要素になります。もっと自分の人生が好きになる。

趣味で得た正のスパイラル

おそらく今、「正のスパイラル」のような状態です。

趣味をする

気分が良くなる

よく眠れる

趣味がもっとできるようになる

もっと気分が良くなる

楽しい気分で眠れる

いろんな趣味を楽しめるようになる

こんな感じ。

「趣味は健康のバロメーター」です。

・・・医者の回し者でも保険の営業マンでもないのですが。ホントにそう思います。ある程度健康じゃないと趣味ができないので、趣味をしたい人は健康に気を使うようになります(きっと)。

逆に体調不良やメンタル的にしんどい時は、無理して趣味する必要もないです。そんなコンディションでやっても面白くないですし、ケガするだけです。

「やらねば」をできるだけ取り払って、せめて「やった方がいいかな」くらいの気持ちでやるのが吉です。

病気はチャンス、マジで。

私の場合は、潰瘍性大腸炎になり、健康面で不利になったおかげで、健康的な生活を手に入れることができました。病気になったおかげで、生活が丁寧になりました。

病気になってなければ、フルマラソンを完走してませんでした。ロードバイクもやってないでしょうし。今や、感謝してるくらいです。

今は寛解してるので、同じ病気に苦しんでいる人のことを深くは共感できないのですが、私は病気をチャンスだったと思っています。

根っこからそう思っていたわけではなく、そう思っていた方が気が紛れるので、腹痛が減りました。絶望と捉えるよりは精神衛生上良いです。

「チャンスだと思った方が良くね?」
くらいのチャラいイメージを脳内に持ってます。

プールの底みたいなもので、あとはそこから上がるだけ。

背負っているものを振り払えば、浮かんでくると思います。あとはやりたいことにフタをせず、やれるときにやった方がいいです。「刺激物を食べるのは控えましょう。」って言われるのですが、食べたいなら1辛くらいで試したって良いと思ってます。

私は今、退屈な日々におサラバして、自分の人生にハマっています

ショートケーキのイチゴを最後に食べる人だとしても

私は別に苦労話をして「いいね」を荒稼ぎしたいのではなく、理由は何であれ、やりたいことにフタをしてるなら今すぐにでも取っ払ってほしいです。

ショートケーキのイチゴを最後に食べる派の人だとしても、一皿の最後には食べるはず。「あとであとで」と取っておくと、いつか腐ってしまいます。友だちに食べられてしまうかも。

あなたが大切にしているイチゴにも賞味期限があるはずで、美味しいうちに楽しむのが吉です。

老後までイチゴを取っておくなんて、もったいない

いっぱいあるから、遠慮なく食べてください。

それじゃ、私はランニングに行ってきます。
ではでは。

いいなと思ったら応援しよう!

永田 健人|多趣味の人
応援お願いします!今後の制作活動に使わせていただきます!

この記事が参加している募集