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【読んだ】「棘」/フェルディナント・フォン・シーラッハ

ある博物館に展示された「棘を抜く少年」という大理石像。その展示室をたった1人で23年ものあいだ監視し続けた警備員が犯した奇妙な犯罪。

今から10年前、2011年に発売された「犯罪」というタイトルの短編集に収録されている10ページくらいのとても短い小説です。読み終わるのに10分もかかりません。
私にとって、この短い小説はとても印象深く不思議な魅力をもった作品です。さっき10年ぶりに読んだので感想文っぽいのを書きます。

この小説は、弁護士でもあるドイツ人の作家、フェルディナント・フォン・シーラッハの作品です。名前がカッコいいですね。特に「フォン」が良いですね。私も苗字と名前の間に「フォン」を入れてみたいです。

長尾・フォン・スエオ

なかなか思うようにはいきませんね。

さて、この度ご紹介する作品「棘(とげ)」ですが、あなたは「棘」と聞いてなにを連想されますか?

はい、そうですね、巣鴨とげぬき地蔵ですよね。

今一度、よく考えてみたい。
一体、とげぬき地蔵とは何か。私は巣鴨に行ったことが無いし、その地蔵も見たことがありません。

とげを抜いてくれる地蔵なのでしょうか、それとも、こっちサイド(俺)が地蔵に刺さってるとげを抜くパターンでしょうか。
こっちサイドが抜くパターンの場合は、きっと、抜いたとげの分だけ「抜いてくれたお礼」という見返りとしてご利益をいただけるシステムなんじゃないかと思われます。自分の年齢の数だけ抜く感じです。

まあ仮にそうであるならば、参拝客もけっこう多いかと思うので、あらかじめ地蔵をトゲトゲにしておかないといけないと思うんですよね。事前にね。
巣鴨はシニアの原宿と言われるほど、おばあちゃんたちで賑わう名所であると聞いていますので、地蔵は1体だとさすがに足んないと思います。5~10は必要でしょうね。平日は5、土日祝は10です。
当然ですが、全て事前にトゲトゲにしておかないとだめです。

土日は参拝客も多いので、10体並べておいても、おばあちゃんたちが自分の年齢の数だけとげ抜いちゃうから結構トゲトゲの減りが早いです。お昼前にはトゲトゲがほぼ無くなりますので、11時頃には補充する必要があるかと思います。あの、ホテルとかパーティーとかのブッフェのローストビーフみたいにすぐ無くなるから、結構早めに第二陣を用意しておきたいですね。

まあ、このように、とげぬき地蔵の「とげ」って何だ?というような事を考えてしまう時間が、仮に23年間もあったとします。一日中、毎日です。
きっと、頭がおかしくなります。

そういう小説です。

ぜひお時間があれば、お手に取ってみてはいかがでしょうか?
文庫が出てますね。


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