054:月曜日の友達|漫画
・阿部共実先生の「月曜日の友達」という漫画は、自分の人生のバイブルと言える作品だ。
・この漫画と巡り会って約5年、定期的に読み返している。
・キラキラとしつつもモノクロームに描かれるその世界の雰囲気は、読んでいて不安定な心地よさがある。
・しかしそこよりも、漫画の中のキャラクターたちと自分自身を重ねてしまい、どうしても頭から離れない作品となった。
・中学生へと進学した主人公が、大人になっていく周りと子供のままの自分を比べ息苦しさを覚える様子を描いた作品。
・窮屈な田舎町にある、ひとつの中学校という狭い世界の中で織りなされるストーリー。
・極力ネタバレはしたくないので細かくは言及しないが、こんな概要。
・社会人になったばかりの頃友人に勧められこの作品を読み、まんまとその時の自分が抱いていた悩みと重ね合わせこの世界に没入した。
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・新社会人となった僕は、「仕事をする」という事象に対し違和感を強く覚えていた。
・決められた研修の中で努力をする同期たちに対しなんでそこまで頑張るんだろうと思ったり、当時営業部長でその後執行役員となった優秀な人の演説を聞いて感心する同期たちの感情が理解できなくて、孤立しかけたというところが違和感を抱くきっかけだった。(なお今は優しい彼らに助けられ、親友と呼びたい存在になっている。)
・きっかけとしてはそんな感じだが、どうもそこから深い沼に足を踏み入れたらしい。
・「知らん奴が作った会社の中で仕事をするという謎の行為」「会社という枠にとどまらず、そもそも社会全体ですらそのようなものではないか」「決められたシステムの中で生きることのロボット感・無意味さ」という形で自分の思考が深化していった。
・大人は全員人間らしくないと思った。
・子どもは全員人間らしいと思った。
・似た悩みを持っている人が一人だけ身近にいた。
・もともと仲は良かったが、その悩みを共有してから、人生で初めて自分に仲間ができた。
・普通にも当たり前にもなれなかった僕らは特別な人間になりたくて、特別な人間にもなれなかった僕らはせめて認め合う人間が必要だった。
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・「月曜日の友達」のキャラクターたちは、そのような感情を中学生時点で悩むことができて、羨ましかった。
・この作品は一生自分の中で残り続ける作品になるだろうな、と思った。読んだ時の衝撃は、漫画を読むという行為においてこれまでに覚えたことのないものだった。
・先日新社会人となって1ヶ月くらい経った知り合いが「高校の狭い教室に入れられた気分」と言っていた。
・その言葉を聞いて、この漫画をもう一度読み返した。
・この漫画の主題歌は名曲なので良かったら聴いて欲しい。
・『月曜日』 - amazarashi
・阿部共実先生の他の漫画に関しては、こんな形で綴ったことがある。
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