桜雨「Kisikaの日記」28
H16/04/08
昨日までは
黄砂に染まっていた空から
今日は雨が降って来ます
白く煙る水のカーテン
向こう側にはぼんやりと
山肌が透けて見えます
満開の桜の木を包む
水の立体がゆらゆら揺れて
うす暗い納戸の奥の
私の横顔が揺れている
いつか雨が上がり
水の立体が崩れ落ちて
桜の木を囲む広い湖になれば
風に散ってゆく白い花びらが
湖面を覆うことでしょう
あなたは花びらを踏みながら
湖面の道をひとり歩いて
私のもとへ
帰って来てくれるでしょうか
それとも花は散り果て
湖の水も引いて
若葉が萌える初夏になっても
あなたには会えないのでしょうか
今日も私は
納戸の奥に座り
桜雨の音を聴きながら
あなたを待っているのです
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