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人に想われるっていいな<水を縫う>

水を縫う 著者:寺地はるなさん

「わたしから生まれたとは思えないほどすこやかで、すこやかであるがゆえにほんのすこし無神経な娘。」

娘と孫娘を一定の距離感で見守る祖母のつぶやきは、今まですべてを受け入れてきた感情がふと湧いて出てきたように聞こえ、まるで自分の母親が言っている言葉のようでもある。

高校生の清澄は母のさつ子と祖母の文枝、そして姉の水青の3人で暮らしている。たまに父の全とその友人の黒田さんと会う。
家事はそれぞれの役割があり、家族関係はそれなりにうまくやっている。今度、姉さんが結婚することになり、清澄はドレスを作りたいと言い始める。

印象に残ったのは、離れて暮らす父がドレス作りを手助けするところだ。
姉のかわいすぎるのとキラキラしているのは嫌という要望を父は見事にその意図を汲んで、清澄はかなわない。

娘の結婚に対する祝福への想いと今までできなかったことのお返しがひとつの形になって現れている。また、父の家族のようである黒田さんの存在も見逃せない。

想いが形になり、人に想われるっていいなと思った。🐬


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