人間の存在意義は?神の陰謀? 漫画「ディザインズ」五十嵐大介 ★4
2015年~2019年 全5巻 五十嵐大介
世界的大企業サンモント社によって、遺伝子組み換えで開発されたHA(ヒューマナイズド・アニマル)。大きな宇宙事業「ナラ・プラント計画」の裏で蠢く人間の陰謀と利用されるHAの織り成す物語。
いわゆる非人道的な話が盛りだくさん。結局は、不気味な見た目で人間の能力を超越してるHAの恐ろしさよりも、人間の方がはるかに恐ろしく、嫌悪感を感じざるを得ない。
と共に、それらも全て、存在のアップグレード?のための必要悪のようなものかもしれないという思いもあり、頭が混乱させられる。人間の役割はそういうものなのか?「神の陰謀」
(^^)/
私利私欲で他をいい様に利用し、自分勝手に振る舞う人間。下の言葉は3巻で繰り返し語られる言葉。妊婦の殺害、顔だけ切り取られた象、爆撃、そのヘリ墜落からパイロットを襲う住民、殺し合い、憎悪と殺意。
ここらでイルカたちの歯車が狂いだすけど、それは置いといて。この醜い人間たちの中で、むしろ化け物じみたHAが、時折見せる素朴で純粋な表情や仕草に癒されるという皮肉。
(^^♪
もちろん出てくる人間には、醜い人間だけではない。一般的な価値観の人間は少ないが、ショーンやベン、ミリアムなんかは?もっと先の世界を見ているかも?オクダに関してはもっと先?理解不能な世界だけど。
今の価値観からずれてるというだけで、単純に非道な人間だとは言い切れない。この先も人間はどんどん進化していくのだろうし、そうなれば、また新しい価値観が生まれてくるのだろうし。
昔、モンサントや遺伝子組み換えを知った時は圧倒的な否定感だったけど、今は以前より抵抗が少なくなってきてる気がする。危険か? 悪くない遺伝子組み換えもあるんじゃないかと。悪くない農薬も。
!(^^)!
今作でよく出てくる「環世界」は、重要な要素だと思うが、自分もすごい興味あることだから気になるけど、例として出てくる話は、本当の事なんだろうか?
あと象が印象的で、「時空を超える存在かも」というセリフもあったり、また後半のオクダ家にいたガネーシャみたいな象のHAが意味深なこと言ってて…。よくわからんけど、気になるな。
その後、でかいタコのHA?に食われたりして…あれはオクダの環世界が、レッド(イルカのHA)には見えてて、その世界に飲まれた的な?感じだったのかなー?
(^_-)-☆
とりあえず、話が壮大になり過ぎていて、全5巻では物足りない気もする。「ナラ・プラント計画」ももう少し見たいし、HAの宇宙での活躍とか、オクダのさらなる進化なんかも気になる。
まあ大好きな五十嵐さんだから、これはこれで十分満足できなくもないけど、ちょっと期待が大きすぎる分、個人的には、そこまで最高の作品とはならなかった。
なんとなく、人間のちっぽけな倫理感を遥かに超越するような、壮大で深遠な結末なんか見れたら良かったかなーとか思ったり。ちょっと今作では、「海獣の子供」超えには至らなかったなー。。。
物語の質の高さもそうだけど、キャラクターの魅力も高い。主役のクーベルチュールの不気味さと可愛さ。靴への執着は…人間らしさの現れ?普通の女の子の?死者の存在が見える、環世界?
でもジャスミンが一番、五十嵐さんっぽい感じがした。見た目が。最後にカエルが銃を取り上げるとこもいいな。救いのような…でも結局明るい未来は想像できない悲しさ。
にしても、アーワンが超絶切ないわ。あの純粋な恋心からの、残酷な実験。でも死んだあとジャスミンのそばで笑顔だからいいのか。むしろ、いろいろと解放されて良かったか。
その他、五十嵐大介さん作品記録↓