仏道に真に実直な名僧! 本「明恵 夢を生きる」★4
1995年 河合隼雄
心理学や仏教に関して、大した理解もない自分でも、難解過ぎず、ある程度分かるように書かれているので、十分楽しみながら、学習できた。深い説明に至るところもあって、理解できない箇所もあるが、それを抜きにしても、それなりの満足感は得られる。
フロイト曰く、「夢分析」というのは、夢を見た人の意識状態を知らなければならないものだと。明恵は、当然昔の人物なので、直接話を聞くことはできない。なので、現存する書物等から判断し、理解を深めることになる。それに夢分析も加え、明恵の人物像が明らかになってくる。一般的に語られる明恵像がどういうものなのか知らないが、もしかすると本書で語られる明恵像には、何かしら違いがあるのではないかと思われる。
本書でも言われているように、たぶん「明恵」という人は、それほど広くは知られていない人物なんだろう。自分はただ何となく夢に興味があり、ここにたどり着いた。仏教にも詳しくないので、他の名僧と比べることはできないが、ここで知った明恵という人物は、仏道に真に実直で、稀有な偉人・名僧という印象を持った。
鎌倉時代は、「平家から源氏へ、源氏から北条氏へと、あわただしく権力が移り、多くの名僧が現れ、日本人の霊性が活性化された時代だ」と。その名僧には、法然・親鸞・道元・日蓮などがいて、これらはよく名の聞く人物たちだ。特に法然・親鸞は、大きな存在だったのだろう。本書曰く、「明恵は他宗に対して極めて柔軟な態度だったが、法然ー親鸞の創始した宗派(浄土宗・浄土真宗?)には、激しく反対した」らしい。それがいかに画期的だったかを物語っていると。ちなみに、「親鸞と明恵は同年生まれで、仏教的考え方は異なり、対立的だった」らしい。山本七平によると、「明恵上人伝記」は、明治に至るまで、おそらく最も広く読まれた本の一つだと。これは、「親鸞の教えが宗教界に於て、日本人に強い影響を与えたのに対して、明恵の考えは、日本人の日常的倫理に強い影響を与えたことを示している」と。なので、何か新しいことをしたか?という観点ではなく、彼の宗教性そのものに注目するべきだと。
ここで注目されるのが、北条泰時が制定した「貞永式目」(御成敗式目)という法だった。これは、画期的、革命的であったらしく、この思想的支柱として明恵が関わっていた。そして、貞永式目は600年以上の長きにわたって日本人に受け入れられてきたという。↓
泰時の「ただ道理のおすところ」、明恵の「あるべきようわ」が思想の根本?全人的な生き方? この「あるべきようわ」というのが、重要なもののようだが、これがまた分かりにくい。
分かりそうで分からない。きっとその真髄は、そう簡単に分かる類のものではないんだろう。明恵自身ですら、この厳しい問いかけを、常に己に課していたようだし。「貞永式目は世界の中でも稀な法、法理上の典拠をもっていない。背後で支えるのがこの「あるべきようわ」だ。この本質が貞永式目の中に生かされ、それはのちまで日本人の生活の中に生きてきた。」ということみたいですよ。
また明恵は、予知夢や一種のテレパシー現象みたいなことがあったようだ。予知夢は分かるとして、テレパシー現象に関しては、「禅定によって、明恵がある種の意識状態になってる時、こころの状態と外界のものの世界の状態は、不思議な対応をもち、遠隔地のことや暗闇の中のことなどが、彼には見えるようになる。」禅定とは、瞑想みたいなこと。具体的には、深い禅定時、「その場にいない、蜂が水に落ちて死にかかったり、雀が蛇に飲まれそうになったりするのが見える。」との話がある。実際、弟子が見に行くと、そうなっていたと。まったく一体どういうことなのか、微塵もそういう経験がないので分からないものだが、実際そういうことはあるんだろうか?霊性の高さによるのか。上にもあるが、有名な「明恵上人樹上坐禅像」の絵が示すように、明恵は自然と渾然一体となり、すべてが区別なく感じる境地に達するんだろう。
最後の章に「事事無礙」というのがでてくる。これは、華厳経の四法界の一つで、「現象世界のすべてのものごとが相互に関連・融合し、そのままで真実の世界を完成していること。究極のさとりの眼から見た存在の世界のあり方。」(精選版 日本国語大辞典) 四種の法界は、1事法界、2理法界、3理事無礙法界、4事事無礙法界。この辺の説明を、井筒俊彦さんの論を基に述べられるのだが、難しそうなので、気が向いたときに詳しく見ていこうと思う笑(P354~362)華厳経というのは、捉えがたく、難解なものらしいが、ここでは「光のみ満ち溢れる」という表現で語られており、興味は湧く。が、たぶん触れてみたところで、理解はできないだろうが。
あとがきに、明恵と宮沢賢治、アシジの聖フランシスコとの類似性のことが述べられており、こちらも興味が湧く。実際、本も出てるようなので、機会があれば読んでみたい。
明恵さんの本、いろいろあるんだな~。
白洲正子さんの「明恵上人」と、あとがきで言ってた「聖地アッシジの対話」が気になるな~。
なんだか結局、とりとめもない文章で長々と書いてしまった。うまくまとめられない…が、とにかく明恵という素晴らしい人物がいたんだと。そして、自分も夢日記つくりたいと。まあ、そんなこんなでもう終わらせよう。。。
勉強になりました!^^
(^^)/
この記事が参加している募集
Jah よ! へるぷみ~ (T人T) ナムナム アーメン タスケテ・・ ☆彡(-人- ) 星に願いを・・・ らぶみーてんだー ♡♡♡ <3