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とはいえ、美しいものには弱いよな~… 本「危険な「美学」」 ★4

美しさに潜む危険性…。

2019年 津上英輔

(目次)
序章 美と感性についての基礎理論

第一部 美は眩惑する
 第一章 「美に生きる」(高村光太郎)ことの危険
 第二章 アニメ『風立ちぬ』の「美しい飛行機」

第二部 感性は悪を美にする
 第三章 結核の美的表象
 第四章 「散華」の比喩と軍歌〈同期の桜〉

「美」っていうと、もう単純に絶対的にええもんだと思ってたけど、浅はかだった笑 真善美の言葉からしてイメージ良いし。そもそもコレって何の言葉なのか?調べると「認識上の真と、倫理上の善と、審美上の美。理想を実現した最高の状態をいう」とのことで、使われるようになったのは、おそらく近代で、カント哲学の影響によるものらしい。(https://kotobank.jp/word/真善美-538151)やはり、良い感じがするが。

本書では、題の通り、美に潜む危険性について書かれている。
ポイントとしては↓

美は、人に強く訴えかける。その強い光で、周囲にある偽悪や暗く醜いものを、見えなくさせる。(美の幻惑作用)美の追求には必ずこの幻惑が伴う。美の追求は人を惑わせ、時には結果として人を死に至らしめる。
そして、その追求に際しては、自己監視を怠らないようにするべき。危険なのは、真偽・善悪で判断すべきところを、美醜の判断をもってすること。感性の判断に身を任せるのが危険で、知性と理性を用いて判断すべき。
感性は忌むべきものを美しいものに、一挙に反転させる。しかも忌むべきものであればあるほど、美しくさせる。さらに、そうしてできた美しいものには、反転前に忌むべきものであったことの痕跡が残っていない。完璧な大欺瞞。悪を隠すのではなく、美しいものにしてしまう感性の統合反転作用がある。美しいものは尊ばれ、疑いの目を向けることが憚られる。

このようなことを、高村光太郎や堀越二郎、戦争、散華、病的なことなどを例にして語られる。美しい戦争賛美の詩、美しい戦闘機、桜の様に散る特攻隊、病による魅力。美に潜む危険性。言われてみるとすごい納得いく。とはいえ、美しいものには弱いよな~。

高村光太郎とか興味あったけど、詳しく知らなかったので、その辺知れたのも良かったし、「散華」というのも知らなかったし。桜→美の極み→日本精神→散り際の潔さ。桜にはこういう象徴があったのか。あと、「メランコリーと創造性の関係」なんかめっちゃ興味ある。本「土星とメランコリー」気になる。

最後の著者の言葉。

美と芸術を、重すぎず、軽すぎず、適正に捉えて、
その恵みと危険の両方に意識を向けていただきたい。

本書を読まなかったら、ずっと幻惑させられ続けていたかな。自分は感覚的人間なので、美しいものは、真で、善で、素晴らしい!と鵜呑みで、浸っちゃうから。やはり、美しいものには棘が、毒が、あるんだろうか。気を付けよう。とか思いながらも、ここで言う危険性は死だったりするけど、個人的には死を否定的には捉えてないので、盲目的に自己の美の中での死も悪くないんじゃないかと。美には、人間の価値観を超越するものがあったりするんじゃなかろうか、とか思ったり、思わなかったり。よくわからんくなってきた。。。

勉強になりました!

(^^)/


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