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老後資金はFIREではなく、WPP理論で☆

 「FIRE(ファイア)」とは、「Financial Independence,Retire Early」のことで、「経済的自立と早期退職」を指す言葉で、現在の運用状況が良くなっている状況において、実行している人が増えていると言われています。

 この話を要約すると、資産運用や節約によって資産を築き、資産運用による不労所得(投資元本の4%ルール)を確保して、経済的に不安がない状態で自分の望む生き方を実現しようというものです。

 確かに、サラリーマンという宮仕えは、いろいろと厳しいところがあり、辞めちゃいたいなと感じるところはしばしばあります(多くの人が感じるところだと思います。)。

 しかし、先行するFIRE実践者の話を本などで読むと、もともとFIREが実現できる人は、資産運用などもできるため、仕事もできる能力の高い人なんですが、そういう人が仕事を辞めると、ヒマでヒマで仕方がなく、どうにもこうにもイヤになって、早晩、仕事に復帰してしまう例がかなりあるのだとか。

 で、その他に、資産運用は、4%ルールと言いますが、このインフレ状況下においては、諸事値上がりしており、だんだん生活が厳しくなっている人もいるのだとか。

 また、そういう方は、老後資金に、公的老齢年金を当てにしているとは思うのですが、サラリーマンを早期退職してしまうと、厚生年金の加入期間が短くなり、老齢厚生年金受給額が目減りしてしまうほか、公的年金受給額そのものも、「マクロ経済スライド」により、物価や賃金の上昇分より、確実に、下回る仕組みですから、働いていないと、どんどん生活が厳しくなっていってしまうのです。
 ※デフレから脱却し、現在のインフレ経済下では、公的年金受給額は、マクロ経済スライド調整率分だけ、物価や賃金上昇分に追いつけません。なお、インフレ状況下では、賃金も上昇していきますから、働いていない公的年金受給者の生活はより厳しくなります。

 つまり、FIRE実践者は、仕事を辞めると、ヒマになりすぎることと、公的老齢年金も目減りすることから、何だかあまり面白そうな人生にならないのではないかというのが、私の読書から得られた知見です。

 で、今、老後資金準備として、注目を浴びている「WPP理論」というものがあります。

 「WPP理論」とは、①W…Work longer(就労延長)、②P…Private pensions(私的年金等)、③P…Public pensions(公的年金)の頭文字を取った理論で、次のような給付を合わせ技した内容です。

①就労延長…働けるうちはなるべく働く「先発投手(スターター)」
②私的年金等…就労引退から公的年金の受給開始までつなぐ「中継ぎ(セットアップ)隊」
③公的年金…終身給付で人生の終盤を締めくくる「抑えの切り札(クローザー)」

 これは、厚生労働省も言っていることで、①の就労延長により、将来の公的年金の給付が増え、①にもとづき、②の私的年金等による自助努力の範囲が現実的となり、③の公的年金で長生きリスクをカバーするほか、繰下げ受給による給付増が可能となります。

 これを具体的に言うと、例えば、①の就労延長により、65~70歳まで働き、③の公的年金は、70歳からの繰下げ受給を選択し、①と③の狭間で(あるいは高齢期就労の時期は給与が下がることへの生活費の補填として)、②の私的年金等で、生命保険などの私的個人年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)等を活用しませんか、というものでしょうか。

 厚生労働省が、こんなことを言うのは、労働人口が減り、高齢者も働いてもらいたいということと、高齢者も働いて厚生年金に加入することにより、厚生年金保険料が入りますから、年金財政が健全化するという狙いがあると思われます。

 また、年金財政健全化への貢献は不明ですが、繰下げ受給により、公的年金が増加することも、実際の老後生活には貢献します。

 そんなこんなを考えると、「FIREよりWPP理論」の方が健全かなと考えるのですね。

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