映画『がんばっていきまっしょい』鑑賞
劇場アニメーション『がんばっていきまっしょい』を観て来ました。
20年近く前に、田中麗奈主演で、実写映画化され、大ヒットし、その後も、ドラマでも映像化されてきた本作が、現在の愛媛県松山市のリアルな映像をちりばめながら、アニメーション化されました。
もともとは、本作は、松山市主催第4回坊ちゃん文学賞大賞受賞作である小説を原作としたもので、その舞台である松山市の高校(アニメ内では三津東高校、現実には松山東高校)もリアルな高校です。
私は、父方も母方も、愛媛県出身であり、愛媛にはゆかりがあることから、この『がんばっていきまっしょい』という作品には、かねてより興味がありました。
数か月前に、外部研修を受講した折に、愛媛県出身の超・優秀な女性受講者(外資系製薬会社のMRトレーナー)に対して、「がんばっていきまっしょい!!」と、声を掛けたのも記憶に新しいです。
松山市内の進学校・三津東高校のボート部が舞台ですが、醒めた感じで、無気力化している村上悦子(悦ネエ)が主人公です。
そこに、転校生の高橋梨衣奈(リー)が、ボートのクラスマッチを見て、感動したことをきっかけに廃部状態だったボート部を再度作ろうと呼びかけ、悦ネエの幼なじみの佐伯姫(ヒメ)と、そこに、押しかけ入部の兵頭妙子(ダッコ)と井本真優美(イモッチ)が加わり、ボート部が再結成されるのです。
私などは、愛媛にゆかりがある身ですので、村上とか、佐伯とか、兵頭とかという姓が、愛媛にゆかりの深い姓であることを知っていますが、こんなところも、愛媛出身の人には刺さる一因かもしれません。
松山市が舞台ですが、本当の松山の風景が、いわゆる「あるある」で、出てきます。
松山市の中心の駅って、「JR松山駅」じゃなく、「伊予鉄松山市駅」なんですね。また、松山市の市電もたくさん出てきますし、松山市の繁華街である大街道やら、デパートの風景なども出てきてます。
ボート部が舞台ですから、海などの水辺の風景がたくさん出てきますが、その描写が大変美しいのです。
CGアニメーションらしいのですが、そのためか、通常では描ききれない角度からの描写もたくさんあり、見応えがあります。
主人公は、悦ネエなんですが、通常のスポ根漫画のような「思い込んだら、試練の道を~♪」とは異なり、主人公の心は、ブレブレにぶれまくっています。
いっつも折れかかっているのですが、他のメンバーに助けられて、最後は、ボートをやる意味を見出す感じになるのですね。
悦ネエ、ヒメ、リー、イモッチ、ダッコとそれぞれ性格が異なる5人の魅力的な女子高生が出てきますが、確かに、主人公は、悦ネエなんですが、5人の相乗効果が、このアニメの良さを引き出しており、誰が私の「推し」だなんて、なかなか言えそうで言えません。
でも、それでも敢えて言うならば、ブレブレの精神で迷いまくる悦ネエに、感情移入するでしょうか。
『巨人の星』のようなスポ根漫画にあるような「ド根性一直線」みたいな生き方は、一般ピープルにはどだい無理で、この三津東高校ボート部のようなどちらかと言うと、弱小運動部のようなところに所属する人の方が、世の中、多いでしょうからね。
今年に入ってから、映画館で、映画を観たのは18本目ですが、私の目が肥えていないせいなのかもしれませんが、どれもいい出来で、駄作にはほとんど当たりません。
本作は、秀作だと思いますが、上映本数も上映2週目にしては少なく、正直、客も多くはありませんでした。出来が良ければ売れるとは言えないんですかね。厳しい世界ですね。