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読書「本屋、はじめました」〜静かに熱く。たくさんの優しさと強さを感じて〜

本が好き、というよりも、実は本屋さんが好きなんだと気付いてしまった。
そんな時に、どうやったら本屋さんができるのだろうか、と衝動的に気になってしまい出会った本。

『本屋、はじめました(増補版)』(ちくま文庫)
著者:辻山良雄


不勉強ながら、私は著者・辻山さんの本屋「Title」のことを存じ上げずにいた。
でもこの多くの本を読んだ人がそうであると思うが(いや、絶対にそう)、私も本屋「Title」に足を運びたくて仕方がなくなった。カフェも併設されているなんて。好きなものしか、理想的な空間でしか、ない。
ただ興味本位とは違った感覚で、この空間に没入して本に出会い、深く沈むようにその本を読みたい。身体の奥から蠢き、そして突き上げてくる感覚。

本や、本に関わるすべての人への想いを感じるこの一冊。ただそれだけでなく、本屋を出し、今に至るまでのことがとても細かく書かれている。
だがそれはただ自己愛的に書かれているのではなく、起業、店舗経営を検討している人への具体的なアドバイスもたくさん書かれているのだ。
なるほどそういう注意点があるのか、といった警告的?なものだけでなく、
こう工夫すれば不安はある程度回避できる、といった優しさにも溢れている。

淡々と、でもその中には強い芯と熱さがある。
整然としているのに心が満たされる。
読んでいて、本当に本屋さんにいるみたいなのだ。

繋がりを持つ全ての人に対する優しさが、この本には溢れていると思う。
かつて自分も本屋さんを"避難場所"にしていた人の一人だったことを思い出した。
あの時はここにいないと心が壊れそうだったのを覚えている。ぎりぎりまで本を選んで、買った本をお守りみたいに、大切に一緒に帰った記憶がある。
だからすごく嬉しかったんだ。そういう場所を作ってくれている人の心も温かいんだと、知れたことに。

早速私のスケジュール帳に加わったイベントがある。
さて、どんな格好で行こうか。絶対にお気に入りの靴を履いて行こう。
新しい本との出会いへの期待に、うずうずが止まらない。

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